- 根管治療(歯の神経の治療)を受けたが痛みが続いている
- 治療直後、強い痛みがある
- 何度も治療に通っているが症状が改善しない
- 咬むと強く響く感じがあり心配
このようなお悩みはありませんか?
歯の痛みを取り除くために行う根管治療(歯の神経の治療)ですが、治療中あるいは治療後に痛みを感じた経験はありませんか。場合によっては、根管治療直後(歯の神経の治療)、激痛を感じることさえあります。このページでは、根管治療中と治療後に起こる痛みの原因についてお話します。
根管治療 痛みの原因
このようなお悩みはありませんか?
歯の痛みを取り除くために行う根管治療(歯の神経の治療)ですが、治療中あるいは治療後に痛みを感じた経験はありませんか。場合によっては、根管治療直後(歯の神経の治療)、激痛を感じることさえあります。このページでは、根管治療中と治療後に起こる痛みの原因についてお話します。
治療中に痛みを感じる一番の理由は、麻酔をしていない状態で治療を行うためです。
「歯の治療だから麻酔をするのは当然では?」と思われるかもしれませんが、麻酔をせずに根管治療(歯の神経の治療)をされたご経験がある方は多いです。その理由は、歯科医師側が以下のような誤った認識をしているからです。
しかし、たとえ歯の神経が死んでいて根の先に膿がたまっている状態だとしても、神経線維の一部は生き残っています(1)。また、過去に根管治療を受けている歯であっても、根の先端付近では痛みを感じる神経が生き残っているため、治療に伴い痛みを感じます。そのため、根管治療を行う場合は麻酔を必ず行うべきであると考えます。
治療の最中に繰り返し痛みを感じることは、治療中の苦痛だけでなく、治療後の歯にとっても良いことはありません。その理由は、“度重なる痛みの繰り返しによって、痛みの閾値が低下するから”です。簡単に申し上げると、“痛みに対して過敏になる”ということです。 治療中に何度も痛みを感じると、「次もあの痛みが来るのではないか」と不安な気持ちになります。これを何度も繰り返していると、徐々に痛みを感じる基準(閾値)が低くなり、最終的には“本来痛みを感じない弱い刺激に対しても、強い痛みを感じる状態”となります。一度痛みに過敏になると、元の感覚に戻るにはかなり長い時間を要します。場合によっては完全には戻りきらない可能性もあります。これと同様に、根管治療を何度も繰り返すと、歯の寿命が短くなるだけでなく、痛みの症状が完全に消失しにくくなることがあります。
日本では、なぜ歯の神経の治療を行う際に麻酔をしないことが多いのでしょうか。それは、上記のようなことを配慮せずに、“麻酔をしないことが患者様にとっての優しさ”であると歯科医師側が思い込んでいるからかもしれません。また、“治療に十分な時間を確保できない”ことも、原因のひとつと言えます。根管治療(歯の神経の治療)は、60~90分という十分な治療時間を使い、1~3回程度の少ない回数で終わらせることが理想的です。しかし多くの歯科医院では、保険診療という様々な制約によって、治療にかける時間を十分に割くことが出来ません。痛みに配慮した麻酔を行うためには、ゆっくりと丁寧に処置を行わなければなりませんが、麻酔だけでも治療の時間が圧迫されてしまうため、麻酔無しでの根管治療に踏み切ってしまうことが多いのも現状です。
大阪府豊中市の髙井歯科クリニックは、他歯科医院で根管治療に何度も通っているが、痛みが改善しないというお困り事をお持ちの患者様から数多くのご相談をいただいております。このような場合、いくつかの原因が考えられます。
ラバーダム防湿法とは、薄いゴムシートに小さな穴を開けて、その部分から歯を露出させて歯科治療を行う方法です。歯の内部(歯の根の中)に、唾液に含まれる細菌が侵入するのを防ぎます。ラバーダム防湿をせずに根管治療(歯の神経の治療)を行うことは、歯の内部に唾液中の細菌が常に侵入するということになります。ラバーダム防湿なしでの根管治療(歯の神経の治療)を行うことは、根管治療後の痛みに繋がりやすいということが明らかになっており(2)、痛みをできるだけ取り除くという点からも、ラバーダム防湿の使用は必須であるといえます。
むし歯の取り残しがあると、歯の内部の細菌の感染が継続している状態になります。本来、根管治療(歯の神経の治療)は、歯の内部の細菌を減らす治療です。しかし、むし歯が残った状態で根管治療(歯の神経の治療)を行うと、歯の内部の細菌を減らすことはできず、痛みが継続してしまいます。当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、むし歯が残っていないかをくまなくチェックした上で、根管治療を行います。
根の内部は、非常に細かく複雑な形をしています。特に、隠れた根の入口であったり、一般的に使用する器具では届かないわずかな溝の部分にも、細菌は潜んでいます。マイクロスコープを使用することで、肉眼では決して見えない細かな部分まで、徹底的に細菌を減らす処置を行うことができます。
根管治療には、細菌を減らすために様々な薬剤を使用します。中には、現在ではあまり使われていない、身体に為害性がある薬もあります。特にペリオドンと呼ばれる薬は、神経を麻痺させる強い作用がある一方で、アレルギー反応が出たり、歯が過敏になり痛みを感じやすくなったりします。当院では、そのような強い薬は一切使用せず、最大限患者様の身体に配慮した治療を行っています。
歯はできるだけ削りたくないという思いは、皆さまお持ちだと思います。しかし、根管治療(歯の神経の治療)を行う歯に関しては、治療期間中に噛んでしまうと強い痛みや違和感に繋がります。また、奥歯の治療であれば、歯の破折を防ぐために、最終的にはかぶせ物をかぶせて形を推奨しています。そのため、根管治療開始時には、反対側の歯と咬まないように歯の高さを落とし、歯になるべく刺激が加わらないようにさせていただいています。
治療を受けた歯、特に根管治療後の歯は、痛みを感じることがあります。その理由をいくつかご紹介しますが、その中には避けることができるものと、どうしても避けることができないものがあります。
根管治療を受けてから数日間は、歯の違和感や鈍い痛みがおよそ50%の患者様に生じると言われています。まれに、治療直後(その日から翌日)激しい痛みを生じることがあります。これをフレアアップと言い、10%弱の患者様に起こり得ることです。フレアアップは、根の中の細菌バランスの急激な変化によるもので、治療の成否にかかわるものではありません。激しい痛みのため、大変不安になりますが、痛み止めを服用し患歯を安静にすることで症状の軽減を待ちます。場合によっては、1-2週間は強い痛みが続く場合があります。この際、歯科医院で仮ふたを外すという治療をされたことがあるご経験がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、仮ふたを外すことは痛み軽減にはつながらず、むしろ歯の内部に唾液中の細菌が侵入することになり、難治性の歯となってしまいます。つまり、ラバーダム防湿下での、無菌的な環境下で根管治療をしっかりと行った直後に痛みが出た場合は、仮ふたを外すことはオススメできないと言えます。
根管治療を受けた歯は、歯の内部が空洞になります。歯の中が空洞になると、通常の咬む力や食事中に物が当たったりしたときに、他の歯と比較して響きやすい状態となります。これは、アコースティックギターを軽くたたくと響くのと同様で、共鳴によるものです。根管治療後に症状を訴えられる患者様の多くは、「咬むと違和感がある」「響く」「他の歯(神経がある歯)と感覚が違う」とおっしゃられます。根管治療を行った歯が他の歯と完全に同じ感覚に戻ることは、難しいと言われています。もちろん、何の問題も違和感もなくなる可能性もあります。“日常生活で特に気にならない程度”を根管治療のゴールと捉えることが多いです。
治療後すぐに感覚が落ち着くことは少なく、治療後も鈍痛や違和感、不快感が継続する場合があります。根管治療が奏功している場合、おおむね3-6ヶ月程度で症状は軽減します。
根管治療を行った歯の一番のリスクは、垂直性歯根破折、つまり歯がバキッと割れてしまうことです。特に、神経を治療した歯は、むし歯が進行していることが多く、残っている歯が非常に少なく薄いことが多いです。そのような場合、せっかく歯の神経の治療自体はうまくいっても、硬いものを咬んだ時、あるいは就寝時の歯ぎしりや食いしばりによって、歯自体が割れてしまう可能性があり、歯根破折が起こると抜歯が第一選択となります。また、破折までには至らずとも、歯の表面のヒビ(クラック)も、特に硬いものを咬んだ時の痛みに繋がりやすくなります。
歯の破折を防ぎ、クラックを増長しないようにする方法としては、かぶせもの(クラウン)で歯の全周を覆うことが推奨されています。根管治療を行った歯の予後調査したアメリカの研究によると、クラウンを装着した歯と装着していない歯を比較すると、クラウンが無い歯では抜歯になるリスクが6倍高かったと報告されています(3)。そのため当院でも、臼歯(前から4番目よりも後方の歯)の根管治療後には、必ずクラウンを装着し、できる限り歯を長持ちさせるように心がけています。 できるだけ歯を削りたくないというお気持ちは皆さまお持ちだと思います。しかし、根管治療を行った歯に関しては、かぶせもの(クラウン)で覆うことが歯の寿命を延ばすことにつながると言えます。
①治療中に痛みを感じないように、必ず麻酔をして治療を行います。
②ラバーダム防湿法と使用器具の滅菌を徹底し、細菌感染に配慮した治療を行います。
③マイクロスコープを用い、歯の根の中の感染物質を隅々まで取り除きます。
④CT画像による三次元的な画像診断を行います。(自費診療のみ)
⑤精密なかぶせもの(クラウン)を作り、歯を長持ちさせることに最大限配慮して治療を行います。
何よりも重要なことは、患者様の痛みを取り除くための十分な知識と、それを実行する豊富な経験です。当院院長は、日本歯内療法学会の専門医であり、精密根管治療に関しては圧倒的な治療実績を誇ります。歯の痛みでお困りの患者様、あなたの大切な歯をぜひ当院にお任せください。
参考文献
1)J Endod. 1984 Sep;10(9):436-48. Pulp biopsies from the teeth associated with periapical radiolucency. L Lin, F Shovlin, J Skribner, K Langeland 2)Aust Dent J. 1994 Jun;39(3):157-61. Factors associated with continuing pain in endodontics. P V Abbott 3)J Prosthet Dent. 2002 Mar;87(3):256-63. Relationship between crown placement and the survival of endodontically treated teeth. Steven A Aquilino, Daniel J Caplan