「根管治療を受けたが痛みが続いている」
「治療に何度も通っているが、痛みがひかない」
そのようなお悩みはありませんか?
ここでは、根管治療を現在受けているものの、痛みがなかなか引かない原因についてお話いたします。
目次
原因① ラバーダム防湿を使わずに根管治療を受けている
ラバーダム防湿とは、根の中に唾液等の細菌が入らないようにするゴム状のシートのことをいいます。
ラバーダム防湿無しで治療を行うと、いくら治療を進めても、根の中に持続的な感染が起こり続け、症状が改善しない可能性があります。

欧米では根管治療を行う場合にほぼ100%使用されますが、日本の一般的な歯科医院では、ラバーダムの使用率は10%を切っている状況です。
本来の根管治療の目的は、根の中の細菌を減らすことです。そして、痛みの原因の多くは、根の中の細菌が十分に減らしきれていないことに起因します。
以下では、ラバーダムの使用なしで根管治療を受けたところ、痛みが続いていることで来院された患者様との実際のやりとりについてご紹介しています。
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原因② むし歯が残った状態で根管治療を進めている
むし歯が残っていると、いくら根の中を綺麗にしても、むし歯の部分から常に細菌感染が起こっている状態になります。
根管治療を行う前には、必ずむし歯(感染している歯質)は取り除かなければなりません。
しかし、クリニックの診療環境にもよりますが、虫歯が残っている状態で治療が進んでいることは実際には多くあります。応急処置しかできない場合や、完全な虫歯の除去に時間がかかる場合などがありますが、根管治療を成功させ、痛みを取り除くためには、虫歯の完全除去は必須であるといえます。
原因③ 強い薬を使用している
根の中の細菌を減らすために、根管治療では様々な薬が使用されます。
その中に、「神経を殺す薬」と呼ばれるペリオドンという薬があります。
ペリオドンは、チューブに入った軟膏のような薬です。劇薬に指定されており、独特のニオイを発します。
このペリオドンは、生き残っている神経(歯髄組織)を壊死させる薬ですが、非常に強い薬のため、乱用することで歯が過敏になったり、痛みが増強したりする可能性があります。

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極力このような強い薬は使わず、生体にとって為害性の少ない材料で治療を受けることが望ましいといえます。
原因④ 反対の歯と噛みこんでいる
根の治療中は、歯の内部が空洞になっている状態です。
そのような状態でいつも通り咬んだ状態になると、治療中の歯が強く響いたり、場合によっては痛みに感じることもあります。
また、治療期間中に固いものを咬んでしまうことで、歯がバキッと割れてしまうリスクもあります。
特に奥歯の場合は、根管治療開始時の段階で反対の歯と咬まないように高さを落とすことで、治療期間中の痛みや破折のリスクを回避するようにおすすめしています。
原因➄ 根の中の処置が十分にできていない
根管治療は、歯の内部の感染を取り除く非常に細かな治療です。
特に、裸眼では根の内部はほとんど見えず、いわば手探りで治療を行うような状態になります。
しかし、根の中は複雑な形をしており、狙って器具を使用しなければなかなか細部にわたって処置を行うことができません。
マイクロスコープといわれる歯科用の顕微鏡を使用することで、裸眼では決して確認できない細かな部位まで処置を行うことが可能です。
根管治療は、一般的には回数がかなりかかると考えられています。
しかし、適切に治療を行うことで、2-3回で治療を終えることができます。

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根管治療も痛みが続いていた実際の患者様のご紹介
以下の患者様は、根管治療を開始したものの痛みがひかず、また口の中から強い薬のにおいがするとのことで髙井歯科クリニックを受診されました。虫歯が残っている状態であり、治療によって痛みは完全に消失し、良好な経過をたどっています。
初診来院時のやりとりと、実際の治療の経過についてご紹介します。
初診時のやりとり:根管治療後の痛みが続く40代女性患者様|根管治療後の痛みの原因について解説>>
実際の治療の経過:他院で根管治療を開始したが、痛みが強く続いているため転院【40代女性】_症例25>>
以下の関連記事でも、根管治療と痛みに関して詳しく解説しています。
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監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医