「前歯をぶつけたので神経を取らないといけないと言われた」
「痛みがないのに、本当に神経を取らないといけないのか」
前歯を強くぶつけてしまったことで、神経の治療が必要と説明を受けたものの、本当に治療が必要なのか悩んでいる患者様はたくさんいらっしゃいます。
ここでは、前歯をぶつけた際に、本当に根管治療が必要なのかどうか、詳しく解説していきます。
目次
前歯を強くぶつけてしまったら
転倒したり硬いものがぶつかったりしたときに、前歯を強く打ってしまうことがあると思います。
ぶつける程度にもよりますが、以下は下にいくほど歯へのダメージが大きくなります。
- ぶつけたが歯は揺れておらず欠けてもいない
- 一部歯が欠けている
- 歯が揺れている
- 歯が大きく欠けている
- 歯が抜け落ちてしまった
前歯をぶつけることを”前歯部の外傷”といいますが、どの程度のダメージかによって対処法はことなります。
今回は、”ぶつけて一部歯が欠けている、あるいは揺れているが、大きく歯が欠けているわけではない状況”を想定して、お話したいと思います。
前歯をぶつけると歯には何が起こる?
歯は、根の先端に小さな穴があいており(根尖孔といいます)、身体と歯の中は血管や神経の管が交通しています。
歯を強くぶつけると、この交通している血管にダメージが加わり、歯の内部への血液供給が遮断される可能性があります。
歯の中の神経は、血管から栄養を得ているので、血液供給が遮断されると、神経が死んでしまい、根管治療が必要となることがあります。
一時的に神経が死んでしまっても、元に戻る可能性も
しかし、むし歯ではなく外傷に限っては、一度神経が死にかかっても(検査で正常な反応が得られなくても)、血流が回復し、元の状態に戻る可能性もあります。
術後およそ3ヶ月から半年は、注意深い経過観察が必要です。
神経を取る必要があるサイン
以下のような状況であれば、受傷後に根管治療が必要となる可能性があります。
- いつまでも咬んだ時の痛みがおさまらない
- 歯ぐきの腫れや膿がある
- 歯が黒く変色している
また、前歯をぶつけることで、歯にヒビ(クラック)が入ったり、ダメージによって将来歯の根の表面が吸収する可能性もあります。
ぶつけてしまった場合には、早めに歯科医院を受診し、継続的に正確な検査を行うことをおすすめいたします。
本当に神経をとる必要があるのかは、正確な検査が必要
歯の神経の状態を把握することは、実は簡単ではありません。なぜなら、歯の内部の神経が生きている状態なのか、壊死して死んでしまっている状態なのかは、目でみて判断することができないからです。
そのため、いくつかの検査方法を組み合わせることで、歯の神経が正常なのか、異常なのかの診断をくだします。

もちろん、歯の神経は取る必要がなければ、取らない方が望ましいといえます。
しかし、本当に神経が死んでしまっている場合、放置することのデメリットもあります。
関連記事:神経が死んだ歯を放置するとどうなる?リスクと治療法をわかりやすく解説>>
前歯をぶつけたため相談に来られた実際の患者様とのやりとり
以下では、髙井歯科クリニックに、「前歯をぶつけたため神経を取らないといけないと言われた」との主訴で来院された患者様との、初診来院時の実際のやりとりについてご紹介しています。
前歯をぶつけて神経が死んでしまい、根管治療が必要となった患者様|外傷後の歯髄壊死と根管治療の必要性>>>
いかがでしたでしょうか。前歯をぶつけた場合、歯の神経をとるべきか否かは、まず正確に診断をくだすことが必要です。
しかし、歯の神経の診断は簡単そうに見えて実は非常に複雑であり、十分な知識がないと、歯科医師によって全く異なる診断をくだしてしまいます。それが誤診につながり、必要な治療が遅れてしまう、あるいは必要ない治療介入をしてしまうという事態に陥ってしまします。
髙井歯科クリニックでは、担当する歯科医師は日本歯内療法学会専門医であり、かつ日本外傷歯学会認定医でもあります。
「前歯をぶつけてしまった」という状態に対して、専門的な視点から、検査・診断・方針の立案とご相談が可能です。
お困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医