こんにちは。豊中市緑地公園の歯医者(歯科医院)髙井歯科クリニック院長の髙井駿佑です。
今回は、根管治療中に遭遇する偶発症のひとつである、歯にあいた穴についてお話いたします。
根管治療は処置中のエラーが起こりやすい治療
根管治療は、数ミリ単位の器具操作が求められる非常に細かな治療です。
また、歯は部位や虫歯の大きさによってはとても薄く、わずかな処置中のブレなどで、容易に歯の内部に穴があいてしまいます。
特に、拡大鏡(ルーペ)や顕微鏡(マイクロスコープ)なしでの治療となると、実際にはほぼ手指の感覚で治療を進めることになります。
歯の内部にあいた穴を、パーフォレーションといいます
パーフォレーションが起こると何が問題なのでしょうか。
最も大きな問題のひとつに、”あいた穴の部分から常に細菌の感染が起こり続けること”が挙げられます。
根管治療は、根の中という閉鎖された空間内に生息する細菌をできるだけ減少させ、外部から細菌が入り込まないように封鎖する治療です。
しかし、パーフォレーションが起こると(起こった位置にもよりますが)、歯の内部と外部が常に交通した状態となってしまい、根の中の細菌を減らすことが非常に難しくなります。
その結果、腫れや痛みが引かない、いつまでも治らない、膿が出てくる、といった症状に繋がります。
パーフォレーションが起こると、根管治療の成功率は大きく低下する
根管治療を精密に行うと、一般的には80%前後の成功率であると報告されています。
しかし、歯に穴があくパーフォレーションが起こると、根管治療の成功率は一気に50%程度にまで低下します。
これは、上記のように、細菌のコントロールが難しくなるため、あるいは歯質自体が脆弱になってしまうためです。
つまり、”初めにどのような根管治療を受けるか”が、その歯の寿命に大きく影響するともいえます。
次回のブログでは、パーフォレーションが起こった時の対処法についてお伝えいたします。
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医