根管治療コラム

こんにちは。豊中市緑地公園の歯医者(歯科医院)髙井歯科クリニック院長の髙井駿佑です。

今回は、根管治療が治らない原因の四つ目として、根の中のヒビ(クラック)についてお話いたします。

歯にはクラックが入ると、細菌が侵入して増殖するスペースになる

歯に起こるクラックは、裸眼で明らかにわかる場合もあれば、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使って強拡大しないと見えない場合もあります。

しかし、細菌は非常に小さなサイズのため、ヒビが確認できた時点で、容易に細菌が侵入できるスペースが生じてしまっています。

クラックが入りやすい状況として、大きく以下の2つが挙げられます。

・咬む力がとても強い

・残っている歯が少ない(薄い)

クラックが入った歯は、根の治療が治りにくい

根管治療は細菌を減らす治療であるため、クラックを経由して細菌が侵入し続けると、いくらしっかり治療しても治らない可能性があります。

ただし、クラックも程度により、ある程度の治療方針が決まってきます。

明らかに割れている歯⇒抜歯が第一選択

わずかにクラックのラインが見える⇒予後不良であることを同意いただいた上で根管治療を開始 or 抜歯

明らかな破折が認められる場合には保存は不可能ですが、破折”線”であれば、実際には根管治療を行い、経過観察をしていくことが多いです。

根管治療を受けた歯は、そもそも破折するリスクが高い

根管治療を行うことで、多少なりとも根の中を切削することになります。

近年ではできる限り歯の切削量は減らす傾向にありますが、根管治療を受けている歯とそうでない歯を比べると、歯が破折するリスクに5倍以上の差があるとも言われています。

また、根管治療を繰り返し受けることにより、残った歯が薄くなり、破折しやすい状態となっている歯にもよく遭遇します。

根管治療に関わらず、歯科治療は再治療になればなるほど歯の寿命に近づいてしまいます。

最も望ましいことは、大きなむし歯でも神経を保存し、根管治療を回避すること(生活歯髄保存療法のご案内はこちら)。

さらに、根管治療が必要になった場合は、ラバーダム防湿やマイクロスコープを使用した、質の高い治療を受け、できるだけ再治療にならないようにすること。

これらが、歯を長持ちさせるためには必要だと考えています。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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