こんにちは。豊中市緑地公園駅前の歯科医院(歯医者)髙井歯科クリニック院長の髙井駿佑です。
前回は、根管治療の目的についてお話いたしました。今回は、根管治療で欠かすことができない、ラバーダム防湿についてです。
目次
ラバーダム防湿とは


根管治療を行う時に最も重要なことのひとつに、“ラバーダム防湿”が挙げられます。
ラバーダム防湿は、歯にゴム状の薄いシートをかぶせることで、お口の中から歯を独立させ、唾液が歯の中に侵入することを防ぐために行います。
ラバーダム防湿を行ったからといって、成功率が上がるわけではありませんが、失敗を防ぐ確立を高めることはできます。
根管治療時のラバーダム防湿
車の運転の時にシートベルトをつけるのと似ています。
シートベルトをつけてもつけなくても車の運転はできますが、シートベルトなしでの運転はあり得ないのと同じく、ラバーダム防湿なしでの根管治療は本来ありえません。
日本と海外におけるラバーダム防湿
ラバーダム防湿は、海外(特にアメリカやヨーロッパ)では根管治療を行う場合には必須とされています。
これを使わずに根管治療を行うと、治療がうまくいかないだけでなく、訴訟につながるほど、なくてはならないものになっています。
一方日本では、ラバーダム防湿を行って根管治療をしている歯科医院は、全体の数%ほどだと言われています。
近年では徐々に根管治療(歯内療法)の重要性が浸透し、ラバーダム防湿を行う医院が増えてはきていますが、それでもまだまだ普及しているとは言えません。
日本でラバーダム防湿が一般的でない理由
なぜ一般的に使用されていないのかというと、保険診療の根管治療に長い時間を確保できない、という理由が挙げられます。
日本の健康保険制度は、すべての患者様が安心して医療を受けることができる素晴らしい制度です。
しかしその一方で、時間あたりの治療単価が低くなり、その結果、多くの歯科医師が保険治療に十分な時間を割くことが難しいのが現状です。
そのしわ寄せとして、“ラバーダムを使わない”という選択となってしまっています。
また、6年間の学生教育の中でも、歯の模型で1–2回実習を行うだけで、それ以降は“しっかりとした根管治療をするんだ”という意思がなければ、ラバーダムなしの治療に慣れきってしまう場合も多いです。
当院では、すべての歯の根の治療(根管治療・歯内療法)で、100%ラバーダム防湿を行っています。
ラバーダム防湿をすると、患者様も楽に治療を受けられる
また、以下のイラストや写真を見ると、「恐そう」「不安」と思われるかもしれませんが、実際には喉奥に水がたまらず、治療中もとても楽だったというお声をいただくことも多いです。中には、ラバーダムを装着したまま眠られる患者様もいらっしゃいます。
もちろんお一人おひとりの不安に沿って進めて参りますので、安心して治療をお受けいただけるかと思います。
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医