論文紹介

タイトル

Analysis of the effect of dilution on the necrotic tissue dissolution property of sodium hypochlorite

ヒポクロの壊死組織に対する溶解性における、濃度の影響の分析

目的

ヒポクロの濃度によって、壊死組織に対する組織溶解性がどのように影響するかを評価すること

Materials & Methods

ラットから63の上皮付き結合組織を採取
7分間、以下の溶液に付け、重量(精度0.1mg)測定
→何%減少したかで、組織溶解性を評価

ヒポクロ: 5.25%, 2.5%, 1.0%, 0.5%
+過酸化水素水、生理食塩水、蒸留水の7種

t testにて、2群間の組織溶解性の有意差を検定

Results

5.25%のヒポクロが、その他どの濃度と比較しても有意に組織溶解性が高い
(vs 2.5, 1.0, 0.5%)

ヒポクロの希釈により、壊死組織の溶解性は低下する。

0.5%ヒポクロ、3%過酸化水素、生食、蒸留水は、壊死組織の溶解性に有意差なし
2.5%は、1.0, 0.5%と比べて溶解性高い

Conclusion

・5.25%のヒポクロが、他のどの溶液と比べても優れた組織溶解性
・0.5%のヒポクロは、生理食塩水と比べ差なし

コメント

この論文も有名な論文ですが、Abou-Rassらの報告と同様に、実際の歯髄組織ではなくラットの皮下組織であることに注意が必要です。

低濃度のヒポクロは組織溶解性に劣ると本研究では述べられていますが、臨床的には、多量のヒポクロを使用することで有効塩素濃度を保つことで、低濃度でも十分な組織溶解性が得られると個人的には考えています。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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