タイトル
Antibacterial effects of endodontic irrigants on black-pigmented gram-negative anaerobes and facultative bacteria
黒色色素グラム陰性嫌気性菌および通性細菌に対する根管洗浄液の抗菌効果
目的
In Vitroでのヒポクロの濃度と抗菌性を評価すること
Materials & Methods
4種の黒色色素産生グラム陰性嫌気性菌
4種の通性嫌気性菌
それぞれに寒天拡散法(agar diffusion test)
ヒポクロ:4%, 2.5%, 0.5%
Results
・すべての洗浄剤が全ての菌株に対して抗菌作用を示した

・4%ヒポクロは最も大きな阻止円→最も強い抗菌効果
・4% vs 2.5% 有意差なし
・2.5% vs 0.5% 有意差あり
低濃度と高濃度で抗菌性に差があるという結果に
抗菌力の強さ
4% NaOCl > 2.5% NaOCl > 2% CHX(クロルヘキシジン)
0.2% CHX ≒ EDTA ≒ クエン酸 > 0.5% NaOCl
抗菌性は濃度に依存する
特に4%と0.5%の間には大きな差がある。
Conclusion
ヒポクロの抗菌性は濃度に依存する(濃度が高い方が抗菌性が高い)
コメント
BystromらのVivoでの研究では、ヒポクロの抗菌性は濃度による差はないという結果でした。
一方、こちらのVitroでの研究では、濃度が高い方が抗菌性が高いという相反する結果が報告されました。
これは、Vivoでは根管内のスメアやデブリスが停滞し、ヒポクロの有効塩素濃度が一気に低下するため、濃度による差が出にくいと考えられます。
また、「実際の臨床で濃度の差は影響するのか?」という研究も近年報告されており、結果は「ヒポクロの濃度の影響はあまりない(治療成績に影響しない)」というものでした。
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医