セカンドオピニオン事例

ご来院までの背景

左下臼歯の歯ぐきが大きく腫れている状態で来院されました。かかりつけの歯科医院を受診したところ、“まわりの骨が溶けているため抜くしかない”と説明され、歯を残したいとの思いから当院を受診されました。歯周ポケット(歯ぐきの溝の深さ)が10mmを超えており、周囲の骨吸収が大きい状態でした。精密根管治療を行い、痛みの症状は治療後すぐに消失、周囲の骨も回復し、歯を健康な状態に戻すことができました。

実際のやりとり

はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。かかりつけのクリニックにて、骨が溶けているため抜くしかないと言われたとのことですが、現在どういった状態でしょうか。

元々かかりつけの歯科医院にて、3ヶ月おきの定期検診に通っていました。半年ほど前から左下の歯茎が腫れていて相談していたのですが、汚れがたまっていることが原因なので、クリーニングをして様子をみましょうと言われていました。ただ、2週間前から腫れが強くなってきたため相談しに行き、レントゲンを撮ったら、「歯を支える骨が大きく溶けている。歯茎の溝も10mmぐらい入るので、抜くしかない。」と言われました。

そうだったのですね。今お困りの症状としては、歯茎の腫れが一番でしょうか。痛みはありませんか?

腫れが一番気になります。痛みはここ最近噛むと鈍い痛みがありますが、食べられないほどではありません。ずっと定期検診に行っていて、早めに相談もしていただけに、どうしてこのような状態になってしまったのかという後悔があります。

わかりました。まず、一度検査をし、腫れの原因と歯を残せる治療方法があるかどうか、みさせていただきますね。

(歯周組織検査・歯髄検査・レントゲン検査を実施)

お疲れ様でした。検査をしたところ、歯周ポケットは11mmと非常に深く、部分的に骨も大きく吸収している状態でした。歯の神経の検査もしましたが、反応がなく、神経は壊死(死んでしまっている)状態と診断できました。

やっぱりそうなのですね…。どうしてこうなったのでしょうか。

おそらく、古い詰め物の中で虫歯が進み、徐々に神経が死んでしまったのだと考えられます。神経が壊死すると、その後根の周りの骨を徐々に溶かし、骨の吸収が進みます。一般的な根の問題だけであれば、骨の吸収は根の先端部分のみに限局するのですが、⚫️⚫️様の場合、骨の吸収が口腔内の歯周ポケットと交通している状態です。ややわかりにくいかもしれませんが、根の問題と歯周病の問題の、2つの問題が合わさっている状態といえます。

かなり悪い状態ということなのですね。前の先生は抜いてインプラントしかないと言っていたのですが、治す方法はあるのでしょうか。

このような状態を、専門用語でエンドぺリオ病変といいます。この病気をしっかりと理解するにはかなりの知識が必要ですが、結論から言うと、直せる可能性はまだ十分に残っていると思います。まず、この病気の場合、初めに根管治療を行います。もちろん、ラバーダムやマイクロスコープなどの専門的な治療環境は必要です。そして、根管治療後3ヶ月から6ヶ月ほど経過をみて、11mmだった歯周ポケットが何mm改善したかを検査します。そこで完全に治っていれば、治療は完了ですが、ポケットが残っている場合、その残った病変は歯周病の問題であると判断し、歯周病の治療を開始することになります。

根の治療と歯周病の治療の両方で治す、ということでしょうか。

おっしゃる通りです。ただ、この2つの治療は治療を行うタイミングを見極めることがとても重要です。また、⚫️⚫️様の場合、他の歯に歯周病の問題はないので、うまくいけば根の治療だけでポケットと吸収した骨が回復してくれることもあります。このあたりは、実際に治療してみて、経過を追って初めてどうだったかわかる部分もあります。

ありがとうございます。先生におまかせしますが、まだ歯を残せる可能性があると聞いて、一安心しました。

ただし、一つだけどうしようもない場合があります。それは、歯の根が割れてしまっている、歯根破折という状態です。歯が割れている場合には、いくら根の中を清掃し、歯周病の治療をしても治すことはできません。残念ながら、抜歯が第一選択となります。割れているかどうかは、根管治療開始後に顕微鏡を使って精査していきます。

わかりました。割れていないことを祈って、治療をお願いしようと思います。よろしくお願いいたします。

この患者様の実際の症例については下記をご覧ください。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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