「歯医者で仮蓋(かりぶた)した材料が取れているが大丈夫なのか?」
「すり減っているが、すぐに歯医者に行った方がよい?」
根管治療を受けた歯の多くは、次回の予約までの間に仮蓋された状態で、過ごすことになります。
この仮蓋の材料は、治療期間中に使用する一時的な材料であるため、食事によりすり減ったり、場合によっては完全に脱離してしまうこともあります。
仮蓋が取れてしまうと、「このままで大丈夫なのか?」と不安になることと思います。
ここでは、日本歯内療法学会専門医が、根管治療中の白い材料について、詳しく解説します。
目次
白い材料は、仮封(かふう)とよばれる粘土状の材料
歯科医院で根管治療を終えた後に、歯につけられている白い材料は、仮封材(かふうざい)という材料です。
歯科治療で使用する材料には、光ですぐに固まるものもあれば、5分程度で硬化する材料、1時間程度で硬化する材料と、さまざまな材料があります。
根管治療中に使う材料は、粘土状の材料であり、お口の中に入れた後は、水分と反応して1時間程度で硬化します。
材料で封鎖している目的は、細菌の侵入の防止

根の治療は、根の中の細菌を取り除く治療です。
根の治療を受け、次回来院までの間は、一般的には白色の材料で根の入口部分を封鎖します。
この封鎖が不十分だと、ご自宅での日常生活の中で徐々に根の中に細菌が入り込みます。その結果、治りが悪くなる、痛みが出てしまうなどの原因となりえます。
そのため、根の治療を受けてから次に治療を受けるまでの間は、できるだけ封鎖材料が残っている方が望ましいといえます。
封鎖している材料はすり減りやすい材料
この封鎖材料は、お口の中の水分で徐々に固まります。
硬いものや粘着性のある物(ガムやキャラメルなど)を食べると擦り減ったり、脱離したりします。
しかし、多少すり減った場合でも、一定の厚み(およそ3mm程度)が残っていれば、細菌の侵入を防ぐという点で全く問題ありません。
歯の感覚は非常に鋭敏なので、「取れてしまったのではないか?」「大きくすり減っているが大丈夫なのか?」とご相談に来られる患者様のほとんどは、表層がうっすらすり減っているだけであり、仮封材料の9割はそのまま残っている状態です。
そのため、「明らかにごっそり取れてしまって大きく穴が空いている」(目安として、小豆が1〜2粒歯の中に隠れるぐらい)という状態でなければ、仮蓋はしっかりと残っているため、問題ありません。
根の治療後の注意事項
- 治療後少なくとも1時間は食事を避ける
- 治療期間中は、なるべく硬いものを咬まないようにする
- ガムやキャラメル、グミなどの粘着性のあるものを避ける
もしも完全に仮蓋の材料が取れてしまった場合には、早めに歯科医院を受診することをおすすめいたします。
仮蓋が取れてしまった?とご心配な患者様へ
仮蓋(かふうざい)がすり減っているのでは?とご心配になられる方も多いですが、少し減っている状態は害ではなく、問題なくそのまま経過を見ていただいて大丈夫なことが大半です。
厚みが保たれていれば、しっかりと細菌の侵入を防いでいます。
過剰に心配せず、次回の治療まで清潔にお過ごしください。
ただし仮蓋が完全に外れてしまった場合は、可能な限り早めの受診が安心につながります。
以下の関連記事でも、仮蓋について詳しく解説しています。
関連記事:根管治療中の仮蓋はすりへっても大丈夫?根管治療中の白い仮封材料について、専門医が解説>>
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医