
「根管治療を受けたのに痛みが引かない」
「治療した歯の歯茎が腫れてきた」
「膿が出ているけれど、これは治療が失敗しているのだろうか」
このような症状や不安を抱えて、情報を探されている方は少なくありません。
根管治療は歯の内部の細菌を除去し、歯を残すための治療ですが、根管の形態は非常に複雑で、すべての細菌を取り除くことは容易ではありません。実際に、日本の保険診療における根管治療の成功率は約50%以下ともいわれており、再治療が必要になるケースは決して珍しいことではないのが現状です。
また、治療後に痛みや違和感があるからといって、そのすべてが「失敗」とは限りません。正常な経過と再治療が必要なサインには違いがあり、それを正しく見極めることが、歯を守るための第一歩になります。
髙井歯科クリニックでは、日本歯内療法学会専門医が、マイクロスコープ・CT・ラバーダム防湿を用いた精密根管治療を行っており、他院で治療を受けたあとに症状が改善しないケースや、抜歯と言われた歯、治せないと言われた難症例のセカンドオピニオンにも対応しています。
本記事では、根管治療における「失敗」の判断基準や現れる症状、失敗が起こる原因、そして再治療の選択肢について、専門医の視点からわかりやすく解説します。
目次
根管治療の「失敗」とは何か?|成功・失敗の判断基準を知る
治療がうまくいった場合には、歯の痛みはなくなり、快適に過ごすことができるようになります。では、逆に失敗した場合、何が起こるのでしょうか。歯の治療がうまくいかない場合、最もわかりやすい状態として痛みや腫れなどの症状が出現します。そのため、患者様が感じる症状は成否を示すサインといえます。また、レントゲンでの画像検査も、治療がうまくいっているのかどうかの指標となります。
臨床症状とレントゲン画像で評価される

根管治療の成功と失敗は、どのように判断するのでしょうか。根管治療の成否は、臨床症状とレントゲン画像の2つの評価軸で判断します。
▼臨床症状:患者様が日常生活で感じる痛みや歯茎の腫れがあるかどうか、そして歯科医院での検査に対して痛みの反応があるかどうかで治癒の状態を判断します。
▼レントゲン画像:歯の周りの骨の状態の変化、特に元々根の先に黒い影(骨の吸収)がある歯の場合、その黒い影が縮小しているかどうかを判断します。根管治療が失敗している場合、レントゲン画像上で、根の先の黒い影が大きく増大している所見が認められます。
レントゲン画像の評価については、CTによる三次元的な画像撮影が推奨されます。歯の部位によっては、通常のレントゲン画像では根の先の状態の判断が難しく、術前、術後とCTにより骨の状態を観察することで、「治っているのかいないのか」をより正確に分析することができます。
>>根管治療でCTは必要?原因の特定と治療を成功させるためのCT撮影の必要性と、メリット・デメリットを解説
治療直後の痛みは「失敗」とは限らない

根管治療を受けた後には、一時的に痛みが出ることがあります。しかし、治療後の一時的な痛みは治療に対する体の反応であり、必ずしも治療がうまくいっていないということではありません。
治療後の痛みや不快症状はおよそ50%程度で起こると言われており、その多くは「数日じんわり鈍い痛みがあったが、痛み止めを服用すれば問題ない」という程度です。しかし、稀に(数%程度の確率で)強い術後疼痛が起こることがあり、これをフレアアップといいます。フレアアップは、「元々痛みが強い状態である」「歯茎がすでに強く腫れている」場合に起こりやすいと報告されています。
>>歯の神経を抜くのは痛い?治療中・治療後の痛みと適切な対処法を解説
日本の根管治療の成功率はなぜ低いのか

日本の根管治療の成功率は、諸外国、特に欧米と比べ非常に低いと言われています。これは、単に歯科医師の技術の差かというと、そうとは言い切れません。根管治療で最も重要なことは、治療を行う際に根の中の細菌をいかに取り除き、そしていかに菌が入らないようにするかという点にあります。そのために必要なことが、ラバーダム防湿を使用して唾液による感染を防ぎ、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で徹底的に根の中を清掃することです。日本の根管治療の成功率の低さは、ラバーダムを使わないことに起因するともいわれています。
近年では日本でもラバーダム・マイクロスコープを用いた根管治療は普及していますが、全体でみるとまだまだ普及しているとはいえません。「虫歯を残さない」「ラバーダムを使う」といった無菌的な治療への取り組みができているかどうかが、根管治療の成功率に大きく影響します。
>>日本の保険治療の根管治療はなぜ成功率が低いのか?根管治療の成功率と日本の歯科医療の現状について解説
根管治療が失敗したときに現れる症状

根管治療がうまくいかなかった場合、痛みや腫れ、歯が浮いた感覚などが現れます。また、元々症状があった場合には、それらが消失しないということも失敗のサインです。
しかし、先述のように、痛みが軽減するには数ヶ月の時間がかかる場合もあり、治療後に痛みや腫れがあるからといって必ずしも失敗であるとは言い切れません。もしもラバーダム防湿を使用し、適切な環境下で根管治療が行われた場合には、症状があっても経過観察が推奨される場合もあります。
>>根の治療後の違和感は大丈夫?根管治療後の違和感や不快感について、専門医が詳しく解説
①痛みが引かない・噛むと痛い

根管治療後に痛みがあると、うまく治っていないのではないかと不安になるかもしれません。しかし、根管治療後には、その痛みの種類によって、再治療を決断した方がいい場合と、経過観察が推奨される場合があります。
根管治療直後には、治療の刺激に対する反応として痛みが出る場合が多いと言われています。特に、噛んだ時の痛みは治療後の典型的な症状のひとつです。基本的に奥歯(臼歯)の場合、治療後には噛まないように歯の高さを落として安静にすることが推奨されています。そのため、「噛むと痛い」という症状は、治療がうまくいっていても起こりうるといえます。
一方で、自発痛(何もしなくてもズキズキする痛み)は、治療がうまくいっていない可能性があります。特に、「何度も治療を続けている」「ラバーダムなしで根管治療を受けている」ような状態で自発痛がある場合、根管内の細菌除去が不十分な可能性もあります。「夜も眠れないほどズキズキ痛い」ような強い痛みがある場合には、早めの受診が推奨されます。
②歯茎の腫れ・膿が出る・フィステル(出来物)ができる

根管治療の失敗とは、厳密には「根尖性歯周炎(根の先の膿)が治っていない」といえます。根尖性歯周炎の特徴のひとつに、歯茎の腫れや膿が挙げられます。特に、膿が大きいと、歯茎に膿の出口としてプツッとできものができます。これを、フィステル(サイナストラクト)といいます。フィステルがある状態は、根の先の炎症が治癒しておらず、骨吸収も回復していないサインです。また、フィステルがある状態は痛みがない場合が多いものの、内部では炎症が慢性的に起こっている状態です。治療を行ってすぐにフィステルが消えるわけではありませんが(フィステル消失のタイミングは術後数日〜数ヶ月と大きな幅があります)、いつまで経ってもフィステルが消えない場合や、一度消えたフィステルが再発している場合には、根管治療がうまくいっていない可能性が考えられます。
>>フィステル(歯茎の白いできもの)とは?症状・原因・治療法を日本歯内療法学会専門医が詳しく解説
③歯が浮く感覚・歯茎の変色・全身症状

歯が浮く感覚は、歯を支えている骨の吸収が示唆されます。根管治療の成否は、根尖性歯周炎(根の先の骨に起こる炎症)が治っているかどうかを示しており、歯が浮いた状態は骨の吸収が治っていない=根管治療がうまくいっていない可能性があります。
骨の状態は、レントゲン写真を撮影して判断しますが、通常のレントゲンではなく、CTによる三次元的な評価を行うことで、「今の状態が病的なのか正常なのか」を正確に判断することができます。
また、腫れが強く出ている場合、特に顔貌が変わるほどの強い腫れの場合には、蜂窩織炎という急性症状が起こっている可能性があります。蜂窩織炎は強い炎症によって全身への影響が出るだけでなく、腫れによって気道が圧迫され、命に関わる場合もあります。激烈な症状が起こっている場合には、歯科ではなく医科の救急外来の早急な受診が推奨されます。
>>歯茎が腫れて押すと痛い|原因と放置するリスク、根管治療などの正しい対処法
「失敗かも」と感じたら|受診の目安
根管治療を受けた後に上記の症状がでた場合、いつごろ受診すべきでしょうか。その前に大事なポイントとして、先述のように「治療が無菌的に、ラバーダムを使って行われていたかどうか」が挙げられます。治療後の痛みは概ね数週間で軽減しますが、違和感、不快症状、食べ物が当たって響く感覚は6ヶ月程度かけて徐々におさまるとも言われています。そして、ラバーダムを使って無菌的な治療を受けていた場合には、基本的には6ヶ月程度は経過観察が推奨されているため、6ヶ月を超えて痛みが続いているような場合には歯科医院を受診した方がよいといえるでしょう。
一方で、ラバーダムなしで治療を受けていた場合、根管内の感染は十分に取り切れていないことが考えられます。そのような場合には、術後数週間でも痛い状態があれば、再度精密な根管治療を受ける方がよいかもしれません。
基本的に、根管治療は一度目よりも二度目の治療の方が難易度があがります。同じクリニックで同じ診療環境で再治療をするよりも、より専門的なクリニックで処置を受けることがおすすめです。
なぜ根管治療は失敗するのか?|主な原因

根管治療は、ひとつの原因で失敗するわけではありません。複数の要因が重なって起こることから、その原因の追求も難しく、対応にもより専門的な知識と技術が必要です。
①細菌の取り残し|無菌化の難しさ

根管治療の目的は、根の中の細菌を減らすことです。しかし、根管は直線的でシンプルな形態ではありません。湾曲していたり枝分かれしていたり、狭窄していたりと、非常に複雑な形をしています。そのため、歯の中の細かな部分まで清掃するためには、マイクロスコープを使用し、可及的に根の中を綺麗にすることが必要となります(マイクロスコープを使っても、根の中を完全に清掃できるわけではありません)。さらに、根の中の細菌を減らす処置中にラバーダム防湿を行っていないと、唾液を介して新たな細菌感染を引き起こすことになってしまいます。
また、「根の中の菌を完全に除去し無菌にできるか?」というご質問をいただくことがありますが、一度感染した根管内を完全に無菌にすることはできません。しかし、「体の免疫力で病気が治るレベルまで細菌を減らすことができれば、根の先の病変は治癒し、問題は解決する」といえます。
>>歯の根が大きく曲がっている歯の根管治療【30代女性】湾曲根管と難易度が高い根管治療
②根管充填の不備|隙間が細菌の温床になる

根管充填とは、根の中を清掃し、空洞になった歯の内部を詰め物で封鎖する処置です。この根管充填は、緊密に封鎖して細菌の侵入を防ぎ、わずかに残った細菌を埋葬することを目的としています。レントゲンでは、根管充填を行った歯は内部が白く写ります。これは、根の中を詰める材料がレントゲンで不透過性を示しているためです。根管充填が不十分だと、隙間が細菌の温床となり、細菌が再繁殖するリスクがあります。
従来の考え方では「詰め物が不十分だと治らない」と言われていました。しかし、近年では、根管充填は治療の成功にそこまで重要ではなく、「治療全体でどれだけ細菌を減らせるか」の方が遥かに重要であると言われています。つまり、「根の先まで薬が入っていないから治らない」という意見については、必ずしもそうとはいえないということです。特にラバーダム防湿下で無菌的な処置を受けている場合、根管充填によって予後が左右される可能性は高くないといえるでしょう。
③根管の複雑な形態|見えない根管が感染源に

歯の根(根管)は、湾曲や分岐など様々な形態があります。例えば、同じ大臼歯であっても、人によりその形には多くのバリエーションがあり、1本として全く同じ歯はありません。根管は非常に小さく細い構造をしているため、肉眼では詳しく確認することはできません。こうした構造に対応するためには、CTを撮影し三次元的に歯の形態を把握し、マイクロスコープによる拡大視野下での治療が不可欠です。

特に問題になるのが、上顎第一大臼歯(6番)の副根管であるMB2とよばれる根管です。通常の根管(MB根)に付随する副根管であり、日本人の半数以上にあると言われていますが、マイクロスコープなしでMB2を見つけ、処置を行うことは非常に難しい、難易度の高い根管です。このような難易度が高い根管に対して適切に治療を行えるかどうかが、根管治療の成功と失敗に大きく影響します。
④穿孔(パーフォレーション)|器具で根管の壁に穴が開く

根管治療の失敗の原因のひとつに、パーフォレーションがあります。パーフォレーションは穿孔(せんこう)とも言われ、歯の本来の根管とは異なる方向に穴が空いてしまうことをさします。根管治療は非常に狭い視野で行われる治療であるため、わずかに削る方向がズレるだけで、歯に穴があいてしまいます。パーフォレーションが起こっている場合、MTAセメントを使用するなどの適切な処置を行うことで歯を救うことができる可能性もありますが、状態が悪いと抜歯が適応となることもあります。
>>パーフォレーション(穿孔)とは?根管治療中に「歯に穴があいた」と言われた方へ|原因・症状・治療と予後
⑤破折ファイル|治療器具の残留

破折ファイルとは、根管内を清掃するための細い器具(ファイル)が治療中に折れてしまい、根管内に残留することを指します。歯の中に器具が折れて残ってしまうということに不安を覚えるかもしれませんが、根管治療で使用する器具は滅菌しているため、それ自体が感染源になることはありません。また、様々な文献から、破折ファイルが残っていても治療の成功率に大きな差はないことが報告されています。除去が可能であれば除去を試みますが、そのためには多少の歯質の切削が必要となります。最終的には、破折ファイル除去を行うか、あるいは歯質を温存するかを天秤にかけ、場合によっては無理に破折ファイルを取らずにそのままにしておくことが望ましいケースもあります。
>>根管治療で器具が折れて針が残る「破折ファイル」とは|除去の必要性と判断基準
根管治療が失敗した場合の対処法と再治療の選択肢
根管治療が失敗した場合、「もう抜歯するしかないのだろうか」と不安になるかもしれません。もちろんすべての歯が治療可能というわけではありませんが、精密な治療を行うことで、歯を残せる可能性はあります。その方法が、再根管治療と、外科的歯内療法(歯根端切除術・意図的再植術)です。ここでは、それぞれの治療について解説します
>>根管治療をした歯が治らない時はどうする?根管治療を受けた歯が治らない原因とその後の治療の選択肢を解説
再根管治療(リトリートメント)

根管治療が失敗した場合の第一選択として、再根管治療が挙げられます。再根管治療は、リトリートメント、あるいは感染根管治療ともいわれ、過去の根管治療のやり直しの治療を指します。一方で、初めて根の中を触る治療を抜髄、初回治療、イニシャルトリートメントといいます。根管治療では、初回治療が最も成功率が高く、再根管治療は成功率が低下するといわれています。その理由は、以下のようなものです。
- 根管内にすでに古い詰め物が詰められており、それらを除去する必要があるから。
- パーフォレーションや過剰な歯質の切削など過去の治療で問題が起こっているから。
- 長期的な細菌感染によって、感染が重症化・複雑化しているから。
再根管治療では初回治療よりも難易度が上がるため、「同じ治療環境で、同じ術者が行っても、改善する可能性が低い」といえます。また、ラバーダムやマイクロスコープ、CTによる三次元的な画像分析は治療に不可欠であり、これらが無い状態での再根管治療は、安定した結果を出すことは難しいといえるでしょう。
>>根管治療の再発を防ぐために|専門医が語る原因・治療法・予防策と、再根管治療で歯を守るための選択肢とは
再治療の回数には限界がある

患者様の中には、「ダメだったらまた再治療をすればいい」とお考えになる方もおられるかもしれません。しかし、根管治療は何度もできる治療ではありません。根管治療に限らず歯の治療は、治療をするたびに歯の切削を伴います。そうすると、歯が少しずつ薄くなり、歯根破折という歯が割れてしまう問題が起こるリスクが高まります。一度歯が破折すると、元に戻すことは不可能であり、基本的には抜歯の適応となります。そのため、「初めて根の中を触る初回治療時に精密な治療を受けること」、そして「再根管治療が必要になった場合はできるだけ治療の環境が整った場で治療を受けること」が歯の健康を維持するために重要となります。一度削った歯は元には戻らないからこそ、質の高い治療を受けることが大切です。
>>根管治療はしないほうがいい?|後悔しないために知っておきたいポイントと当院の方針
精密根管治療と保険の根管治療の違い

根管治療は、国民健康保険の適応となっている治療です。一方で、自由診療による根管治療を行っているクリニックもあります。
保険診療では、検査や治療方法、使用材料などが厳密に定められており、それらを逸脱することはできません。最低限、痛みを取る治療は可能ですが、歯を長期的に長持ちさせるため、再発を防ぐために最適な処置が可能かというと、難しいことが多いというのが現状です。
もちろん、「保険治療では治らない」「自由診療であれば治る」というわけではありませんが、保険診療で治療を繰り返すことは、歯を早期に失うリスクにつながります。一方で自由診療では、制限がないベストな治療を受けることができますが、費用面の負担は保険診療に比べ大きくなります。そのため、最終的には患者様の希望や価値観、歯の保存への思いなどから、どちらの治療を選択されるかを判断するのがよいでしょう。
(髙井歯科クリニックでは、精密な治療を行うために、自由診療でのみ治療を行っております)
>>根管治療が終わったばかりだが、痛みが続いておりもう一度根管治療のやり直し言われた【50代女性】
外科的歯内療法

通常、根の中の細菌を減らす根管治療は歯の上部から穴をあけて行います。根管治療(再根管治療含む)を行っても除去しきれない感染源が根の中に残存している場合、残念ながら治療は奏功せず治りません。そのような場合に、外科的歯内療法という方法が次の治療の選択肢となります。
外科的歯内療法は、歯根端切除術(歯茎を切開し、根の先端と病巣を切除する治療)と意図的再植術(一度歯を抜いて根の処置を行い戻す治療)の大きく2つの処置に分類されます。どちらの処置も、根の先端部分を物理的に切除し、感染を取り除くことを目的としています。外科的歯内療法は、根管治療のさらにアドバンスな治療であり、歯を残すための最後の手段です。
>>外科的歯内療法とは?歯根端切除術・意図的再植術の違いや選択肢を解説【大阪の歯内療法専門医】
歯根端切除術

歯根端切除術では、歯茎を切開し口腔内から直接根の先端の切除を行います。これによって、感染源を取り除き、根の先の病変の治癒を促します。
以下のリンクで、歯根端切除術について詳しく解説しています。
>>歯根端切除術とは?根の先の膿や嚢胞を取り除き、歯を残す外科的根管治療|【大阪の歯内療法専門医】
意図的再植術

意図的再植術では、歯を一度抜歯し、口腔外で根の先の切除を行い、元の位置に戻すという処置を行います。「一度歯を抜いて大丈夫なのか?」とご心配になるかもしれませんが、処置後初めは動揺している歯も、数週間で徐々に安定し骨と生着します。
以下のリンクで、意図的再植術について詳しく解説しています。
>>意図的再植術とは?歯を抜いて戻す特殊な根管治療で歯を残す方法|【大阪の歯内療法専門医】
歯根端切除術と意図的再植術のどちらがよい?

歯根端切除術と意図的再植術は、どちらも根の先端に行う外科的治療ですが、それぞれ適応症例が異なります。基本的には、歯茎を切開して口腔内からアプローチする歯根端切除術が第一選択となります。しかし、解剖学的な形態や血管・顎骨の神経の走行・上顎洞との位置関係などから、歯根端切除術が適応でない場合に、意図的再植術が選択肢として挙がります。どちらの方が明らかに成功率が高いといったことはなく、主にCTによる三次元的評価から、どちらの術式が適しているかを判断します。
それでも改善しない場合|抜歯という判断

根管治療が失敗した場合、再根管治療あるいは外科的歯内療法を考えますが、状況によっては治療ではなく抜歯が推奨される場合もあります。抜歯適応となる理由で多いのが、歯根破折、重度の虫歯、重度歯周病です。その中でも特に問題となるのが、歯根破折・歯のクラックです。過去に何度も治療を受けている場合、残っている歯質が薄くなり、噛む力によって歯が割れるという問題が起こります。歯が割れてしまっていると、残念ながら保存の適応外となり、抜歯が推奨されます。
また、過去に大きく歯が削られており残っている歯が非常に薄い場合、「根管治療は可能で根の先の膿は治るかもしれないが、歯がいつまでもつかはわからない」といえます。そのような状況では、歯の保存にかかる様々なコスト、歯の保存への希望の強さ、将来的な(抜歯となる)リスクなどから、治療介入するか、それとも抜歯という選択をするかを決定する必要があります。
根管治療の失敗を防ぐために|歯科医院選びのポイント
根管治療は、歯科治療の中でも特に細かな治療であり、歯科医師の技術・知識・診療設備によって結果が大きく左右される治療です。これから根管治療を受ける方、すでに治療を受けたがうまく治らずに再治療先を探している方に、根管治療を受ける歯科医院を選ぶ際のポイントを解説します。
歯内療法の専門性を持つ歯科医師がいるか

根管治療は、ほぼすべての歯科医院で行われている治療ですが、根管治療(より広義では歯内療法といいます)を専門としているクリニックは実はほとんどありません。その専門性の指標のひとつが、日本歯内療法学会専門医が在籍しているかどうかです。日本歯内療法学会専門医は、学会の認定を受けた根管治療を専門とする資格であり、全歯科医師のわずか0.2%程度といわれています。また、米国歯内療法学会(AAE)やヨーロッパ歯内療法学会(ESE)に所属している(さらには大学院を卒業している)といったことも、日々根管治療を専門に行い最先端の知識と技術を習得している指標でもあります。
一方で、「専門」ということば・表記は必ずしも専門医を表しているわけではありません。以下のリンクでは、歯科における「専門」について詳しく解説しています。
>>根管治療の“専門”って何が違う?”専門医”による治療を大阪で選ぶ理由
ラバーダム・マイクロスコープ・CTの使用が標準か

精密な根管治療のためには、CTで歯の構造を三次元的に解析し、マイクロスコープで細部まで精査することが必要です。しかし、根管治療で最も重要なことは、ラバーダム防湿を使用し、無菌的な環境で治療ができるかどうかです。ラバーダム、マイクロスコープ、CT、この3つを全症例で100%使用しているかどうか(特にラバーダムとマイクロスコープ)が、根管治療を受ける際に確認するポイントとして挙げられます。
>>ラバーダムなしで根管治療を開始したが、ずっと痛みが続いている【30代女性】
根管治療後の「被せ物」まで一貫して対応できるか

根管治療を受けた歯を長持ちさせるためには、実はその後の被せ物の治療も重要です。つまり、根管治療の成功は、根の中の処置だけでは完結しないともいえます。治療後に適合精度の高いクラウン(かぶせもの)が入っているかどうかは、歯の寿命に大きく影響し、段差や隙間が大きい修復物は、根の問題の再発だけでなく、歯そのものを失うことにも繋がる可能性があります。根管治療だけでなく、その後の被せ物まで一貫して対応できる歯科医院を選ぶことが、大切な1本の歯を守り、長持ちさせるためにも大切です。
「治療に納得できない」と感じたときに知っておきたいこと
根管治療に限らず、自身が受けた治療に納得ができない、不安があるという方も多いのではないでしょうか。治療結果に対して不安を感じた時には、以下の3つのアクションが選択肢として考えられます。
- 主治医の先生に、治療の内容を再度説明してもらう
- 説明に納得ができない場合はセカンドオピニオンを受ける
- 別の歯科医師(歯科医院)の客観的な診断をもとに今後の方針を決める
医科の先生が内科や耳鼻科、眼科とそれぞれ専門領域に分かれているように、歯科医師も、すべての歯科治療を専門としているわけではありません。その中には、矯正、歯周病、インプラント、小児治療など、様々な分野に細分化しています。そのため、根管治療について、専門の歯科医師に意見を求めることは決して間違いではなく、患者様の権利であるともいえます。
髙井歯科クリニックで行う精密根管治療

大阪府豊中市の髙井歯科クリニックでは、根管治療を希望する患者様が遠方からも多く来院されます。また、補綴(かぶせもの)を行う歯科医院様から、根管治療のご依頼を受け、主治医の先生と連携して治療を行うことも少なくありません。
髙井歯科クリニックでは、ラバーダム防湿、マイクロスコープ、CTという診療環境下で、これまで2000症例以上の精密根管治療を行ってきました。根管治療が失敗し、再治療をなんとか成功させたい、歯の問題を解決したい、歯を長持ちさせたいとお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ:根管治療の失敗が疑われるときは、早めの行動が歯の寿命を左右します
根管治療後に痛みや違和感、歯茎の腫れ、膿、フィステルなどがあると、「治療が失敗したのではないか」と不安になるかもしれません。しかし、治療直後の痛みや噛んだときの違和感は正常な経過でも起こるため、症状だけで治療の成否を判断することはできません。大切なのは、レントゲンやCTで根の先の炎症や骨の状態を確認し、現在の状態を正確に診断することです。症状が長く続く場合や、一度治まった腫れ・フィステルが再発した場合には、根管内に感染が残っている可能性があります。
また、根管治療がうまくいっていない場合でも、再根管治療や外科的歯内療法によって歯を残せる可能性があります。一方で、歯根破折や重度の虫歯、重度歯周病がある場合には、抜歯が適切な選択となることもあります。
根管治療は何度も繰り返せる治療ではありません。失敗が疑われるときは、精密な診査・診断を受け、歯を残せる可能性と限界を見極め、再発を防ぐ質の高い治療を受けることが大切です。
監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本臨床歯周病学会 認定医
- 日本外傷歯学会 認定医

