ご来院までの背景
歯茎が腫れたためかかりつけ歯科医院を受診したところ、「根の先の膿が大きく、骨も大きく溶けており、通常の治療では治せない」「MTAセメントという材料が必要」「自由診療になるが、膿が大きいならMTAセメントの方がいい」と説明を受けられた患者様です。ご自身でネットで根管治療について調べたところ、ラバーダムやマイクロスコープについて知り、かかりつけの歯科医院ではラバーダムを使用していないということから、当院を受診されました。

実際のやりとり
はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。今回、右上の歯茎が腫れているとのことですね。今現在痛みはありますか?
痛みはずっとほとんどありません。たまにうずくような鈍い感じがあるぐらいです。腫れはかなり前からありましたが忙しくて歯医者になかなか行けませんでした。ただ、いつまで経っても引かないので、おかしいなと思い近くの歯医者へ行ったところ、病気がかなり進んでいると説明を受けました。
そうだったのですね。そこでMTAセメントという材料を使って治療した方が良いと言われたとのことですね。
はい。ただ、自分なりにネットで調べたのですが、そこの歯科医院ではラバーダムやマイクロスコープは使っていないようでした。なので、放置していた自分が悪いのですが、ちゃんと治療したいと思いまして、こちらに来させていただきました。
ありがとうございます。確かに、多くの歯科医院ではラバーダムなしで根管治療が行われていますが、本来根の先の病変(膿)を治すためにラバーダムは必須です。マイクロスコープも、根管治療は非常に細かな治療となるため、やはりあった方がよいでしょう。
私の歯の状態だと、やはり難しいのでしょうか。
拝見したところ、確かに骨の吸収は比較的大きめという状態です。しかし、骨の吸収、根の先の膿が大きいからといって、とても治りにくいかというと、あまり大きな影響はありません。つまり、膿が大きくても小さくても、治るかどうかへの影響は少ないといえます。
そうなのですね!MTAセメントを使わないと治りませんと言われたのですが…
MTAセメントは、歯そのものに偶発的に穴が空いてしまったり、なんかしらの問題が起こった時のリペアに使用することが多い材料です。今の状態は、歯そのものはそこまで深刻な状態ではありません。色々な文献から、今の⚫️⚫️様の歯の根管治療の成功率はおおよそ85%程度、つまり10本中8〜9本程度は精密な根管治療で治ると言えます。また、MTAセメントも現時点では使う必要はないと思われます。
ありがとうございます。それを聞いて安心しました。もしも治らない場合、どういう状態になってどうすればよいのでしょうか。
治療後はまず6ヶ月の経過観察期間が必要です。そこで治っていれば問題ありませんが、治癒には時間がかかる場合もあり、術後12ヶ月まで様子見が必要なこともあります。今回は骨の吸収が大きいので、治癒傾向の確認の目安におそらく12ヶ月程度の時間が必要でしょう。経過を見て治っていれば、つまり根の先の骨が回復し、レントゲンで黒い陰が小さくなれば、被せ物(クラウン)へ移行します。ただ、治らない確率も15%ほどあります。その場合にはレントゲンで黒い陰が大きくなり、外科的歯内療法(歯根端切除術)という、根の先の感染している悪い部分を直接取り除く治療の適応になります。
よくわかりました。治療が終わったらすぐに結果を求めずに、半年から1年ぐらいは様子見が必要ということですね。
はい。その通りです。もしも外科が必要となった場合には、またあらためて詳しくお話させていただきます。根管治療自体は、⚫️⚫️様の場合は1回で完了できると思います。
ありがとうございます!1回で終わるんですね。仕事が忙しいのでとても助かります。前の先生は「5回10回ぐらいは薬の交換が必要で、最後の最後にMTAセメントを使います」と言っていたのですが、1回で終わっても問題ないのでしょうか?
はい。多くの論文でも、1回で終える場合と複数回かけて治療を行う場合で、治る確率に差はないと報告されています。しっかりとやるべきことをやれば、複数回、特に5回10回と時間と回数をかけることは、プラスになることがないだけでなく、歯にとってもあまり良いとはいえません。なので、当院では基本1〜2回、⚫️⚫️様の場合であれば1回で治療を完了するという予定で進めていこうと思います。
とてもよくわかりました。ありがとうございます。ぜひ治療をお願いできればと思っています。よろしくお願いいたします。
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監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本臨床歯周病学会 認定医
- 日本外傷歯学会 認定医

