ご来院までの背景
かかりつけの歯科医院にて、根の問題によって骨の吸収が大きく、治療が難しいと説明を受けられた患者様です。噛むと鈍い痛みがありCTを撮影したところ、上顎臼歯の根の先の病変が大きく、隣接する上顎洞(鼻の横の空洞)の骨が大きく失われている状態でした。根の治療によって回復の見込みがあるかどうか、治療の成功率などについてお話しいたしました。

実際のやりとり
はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。今回、⚫️⚫️先生からのご紹介いただいたということで、ありがとうございます。今はどのような状態でしょうか。
2週間前に、噛むと鈍い痛みがありかかりつけの歯科を受診し、レントゲンとCTを撮影しました。その結果、根の先の膿が大きく骨が大きく溶けてしまっており、状態がかなり悪いと説明を受けました。特に、上顎洞という空洞の底の骨がなくなってしまっているため、基本的には抜歯が良いのでは?とのことでした。
そうだったのですね。それまでは特に症状などはなかったのでしょうか?
以前からずっと鼻詰まりはあったのですが、単に鼻炎かと思っていました。それまで特に痛みとかもなかったので、難しい治療なのかもしれませんが、何とか歯を残せないかと先生に相談したところ、髙井歯科クリニックをご紹介いただきました。
ありがとうございます。先ほど撮影いたしましたCTを拝見したところ、確かに根の先の膿が大きく、骨が完全になくなっている状態です。ただ、歯を残せる可能性は十分に残っていると思います。
本当ですか!?それを聞いて安心しました。
現在、神経の検査も行いましたが、まず歯の中の神経は完全に死んでしまっている状態です。そして、根の中の細菌がどんどん増えていくにつれて、根の先の周りの骨も溶かしてしまっています。ただ、このような場合、治療の成功率はおおよそ90%程度と報告されています。つまり、10本中9本は、治療によって骨が回復してくれるということです。
わかりました。骨が大きく溶けてしまっていても、また元に戻ってくれるのでしょうか。
はい。歯の周りの骨の吸収が根の問題によるものであれば、根の治療で治癒すると骨も元のレベルにまで回復してくれます。ただし、現在の状況をみるととても吸収が大きいので、回復するまで1年近くかかることが予想されます。それまでは、固いものを噛まないことや、指や舌で押さえたりしないことが大切です。
ありがとうございます。上顎洞の問題もあると言われましたが、どういうことでしょうか。
奥歯の大臼歯は、根の先が上顎洞といわれる鼻の横の空洞と交通していることが多くあります。今回の⚫️⚫️様の右上の奥歯も同様です。歯が原因で根の周りで膿がたまると、上顎洞へその炎症が波及します。それによって、鼻がつまる、重い鈍痛がある、というような症状へつながります。根管治療を行うことで、上顎洞の炎症も軽減してきますので、ご安心ください。
よくわかりました。ありがとうございます。こちらでお願いしようと思います。
承知いたしました。歯そのものは比較的しっかりしていますし、あとは根の治療でどこまで治ってくれるかですね。予定では、2回のアポイントで治療を進めます。治療後は、最低でも半年は様子を見ますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
この患者様の実際の治療内容・治療経過については下記をご覧ください。
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監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医