セカンドオピニオン事例

ご来院までの背景

かかりつけの歯科医院にて根管治療を開始したものの、根の中で古い器具が折れていることを理由に、専門医での受診を勧められ来院された患者様です。根の中で器具が折れているとはどのようなことなのか、何が問題なのか、解説しています。

実際のやりとり

はじめまして。今回、⚫️⚫️歯科医院様からのご紹介と伺っています。ありがとうございます。まずお話しから伺わせていただいてもよろしいでしょうか。

3ヶ月前に噛むと鈍い痛みが出たため、いつものかかりつけ歯科へ行きました。何度か根の治療をしましたが、「根の中で古い器具が折れているのでこれ以上の治療は難しい」「器具を取るには専門医で治療を受ける必要があり、自由診療にはなるが希望があれば紹介します」と言われ、こちらに来させていただきました。

そうだったのですね。ありがとうございます。今現在、痛みはありますか?

かぶせものをはずして噛んでいない状態なので、そこまで痛みはありません。

わかりました。それでは一度お口の中を見させていただき、レントゲン写真も撮影しますね。

(口腔内の検査とレントゲン検査)

お疲れ様でした。レントゲン写真を拝見すると、確かに歯の中に治療で使用する材料と思われる像が観察されます。

やっぱりそうなのですね。器具が折れていると治らないと言われたのですが、なんとかなるのでしょうか。

まず、三つお伝えしたいことがあります。一つ目は、これが本当に器具かどうかはわからないということです。レントゲンでは確かに器具と思われるような所見が認められますが、実際のところはマイクロスコープ(顕微鏡)で直接観察しないと確定はできません。以前の先生はマイクロスコープやラバーダム防湿は使われていましたか?

おそらく使っていなかったかと思います。

わかりました。ありがとうございます。二つ目は、器具が残っているからといって、必ずしもそれが治らない原因になるかというとそうとは言い切れないということです。器具自体は基本的には滅菌して使用するものですし、それ自体に害があるわけではありません。論文的にも、残っているからといって治らないかというと、成功率という点で影響がなかったりします。ただし、器具が残っていると、より深い部分の根の中の清掃の妨げになるため、除去できるなら除去した方が望ましいのは間違いありません。

そうなのですね。この歯に残っているのが危惧だったとして、除去できそうでしょうか。

あくまで推測ですが、位置も浅いですし、おそらく問題なく除去できると思います。ただ、除去のために多くの歯を削らなければならない場合もありますので、状況によってどのような方法がベストなのかは慎重に判断したいと思います。

折れた器具は取れないと言われていたので、安心しました。ありがとうございます。

三つ目は、根の治療をする以上、折れる確率をゼロにすることは不可能ということです。当院では、使用器具の滅菌はもちろん、折れないように徹底して管理していますが、それでも曲がっている根っこや狭窄している根っこでは、折れない可能性がないとは言い切れません。しかし、先ほどお話ししたように、器具が折れること自体が悪いことではありませんし、折れても除去が容易であれば必ず取り除きます。また、仮に根の中に残ることになってしまった場合でも、必ず患者様にはご説明いたします。

ありがとうございます。ぜひこちらで治療を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

承知いたしました。根の中がどのようになっているかは、実際のところ治療を進めてみないと判断できない部分もあります。器具が折れている(と思われる)状態では、歯のダメージも多く蓄積していることが多く、別の問題も併発している可能性があります。何かありましたら、必ず写真や動画にとって、お伝えいたしますのでご安心ください。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

〒561-0872
大阪府豊中市寺内2丁目13-1 緑地ステーションビル1F

06-4867-4850 WEB予約