根管治療後の強い痛みが続き、専門的な対応を希望して来院された40代男性患者様｜根管治療後の痛みとその対応について解説

はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。現在、左上の奥歯の治療を開始しているとお聞きしています。まずはお話からお伺いしてもよいでしょうか。

そうだったのですね。ありがとうございます。今はどのような時に痛みますか？

わかりました。まず、一度検査をし、歯の状態について精査していきます。

お疲れ様でした。検査をしたところ、現在仮の蓋がされていますが、もしかするとまだ虫歯が残っているかもしれません。強い薬のにおいもしますので、一度仮蓋を外して詳しく見させていただいてもよいでしょうか？

ありがとうございます。仮蓋を取ってみたところ、まだ少し虫歯がある状態でした。根の治療は、根の中の細菌を減らすことで治す治療なので、こちらで治療を進められる場合、まずは徹底的に虫歯を除去するところからスタートします。それと、強い薬は歯を過敏にさせる要因にもなるので、治療にあたっては歯への影響が少ないものを使用して進めていきます。

痛みについては、治療直後にスッキリ消える場合もあれば、軽減するまで半年程度かかる場合もあります。ただ、痛みが長引く場合、もともと痛みが長期間続いている方が多い印象です。⚫️⚫️様の場合、痛み出してまだ日が浅い点、そこまで大きく根の中が触られていない点から、比較的早めに軽減してくれるかと思います。

まず、治療中の痛みについてですが、麻酔はしましたか？

そうだったのですね。根管治療は、たとえ神経が死んでいたとしても、痛みを伴います。理由は、根の先付近には感覚神経がまだ生きていることが多いからです。当院では、治療の際には１００％麻酔をしています。治療中に何度も痛みを感じると、痛みの閾値が低下し、どんどん過敏になってしまします。

それと、治療後の痛みについては、主に根の中の細菌が原因かと思います。根の中の細菌を減らすために、ラバーダムを使用する、虫歯を取り切る、といったことが必要です。ただし、それらをしていても、治療に伴う身体の免疫反応として、治療後に痛みが出ることはどうしてもあります。

治療後の痛みについては、痛み止めを服用してコントロールしていただくことになります。ただ、多くの方は「術後２日程度不快感や軽い鈍痛はあったけれども、痛み止めを飲むほどではなかった」という程度です。およそ５０％で、術後２−３日、軽度の不快症状が出ると報告されていますが、そこまで強い痛みではないことがほとんどです。

ただし、まれに治療後に強い急性症状が出ることがあります。フレアアップといい概ね５％程度の確率ですが、かなり強い痛みや腫れが生じます。このあたりは事前の予測が難しいというのが正直なところです。これについても、身体の免疫反応によるものなので、痛み止めを服用し落ち着くのを待つということになります。ただし、術後の痛みが出たからといって、治るかどうかという治療の結果には影響しませんので、その点はご安心ください。
また、根管治療を受けた歯については、他の歯と同じような感覚までは戻り切らないことがよくあります。「他の歯とは違う、少し違和感やにぶい感じはあるものの、日常生活では気にならない程度」がゴールだと思っていただければと思います。治療回数はおそらく２回で終えることができるかと思います。

それでは次回から治療をスタートしていきます。治療中は毎回麻酔をするため、治療中の痛みはないことがほとんどです。今日は根の中を簡単に洗って、再度仮蓋をして終わります。次回からしっかり進めていきますので、よろしくお願いいたします。