セカンドオピニオン事例

ご来院までの背景

半年前に前歯をぶつけ、かかりつけの歯科で経過観察を続けておられました。その後、神経が死んでしまい、根管治療が必要と判断され、精密な治療を希望して当院を受診されました。外傷による神経の問題は見た目ではわからないため、歯髄検査の結果のみで治療介入の判断を下すことになるため、より正確な判断が求められます。歯をぶつけてしまった後に神経が死んでしまう原因と、診断・治療について、患者様との実際のやりとりについてご紹介します。

実際のやりとり

はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。前歯の神経が死んでしまったと伺いましたが、具体的なお話を聞かせていただけますでしょうか。

半年前に、自転車の事故で前歯をぶつけてしまいました。一部歯がかけてしまったのですが、神経は問題なく生きているため、詰め物で経過をみていました。ぶつけた時に、「今後神経が死んでしまうかもしれません」と言われていましたが、半年後の様子見の時に、検査してもらったところ、神経が死んでしまっていると言われました。

そうだったのですね。半年後の時はどのような検査をしましたか?

歯に電流を流して、反応をみる検査だといっていました。

ありがとうございます。それでは、一度こちらでも検査してみます。具体的には、歯に電気を流す方法と、冷たいものや温かいものを歯に当てるテストも行います。

わかりました。よろしくお願いいたします。

お疲れ様でした。検査結果ですが、やはり神経は完全に死んでしまっている状態でした。そのため、根管治療という、歯の神経を取り除く処置が必要な状態であるといえます。

やっぱりそうなんですね…この状態で、神経を残す治療はもうできないのでしょうか?

こちらの資料をご覧ください。これは、歯の中の神経の状態を、ステージ1から4にわけたものです。歯をぶつけて神経が死んでしまうことを、歯髄壊死といいます。これは歯の神経の状態としては末期で、残念ながら元の状態に戻ることはありません。
放置すると、歯が変色してくるだけでなく、根の先の骨を溶かす問題にもつながります。そのため、根管治療が第一選択となります。

わかりました。治療を受けようと思います。かかりつけの先生からは、ぶつけた衝撃で歯が折れているかもしれないと言われましたが、大丈夫でしょうか。

歯をぶつけた場合、歯そのものが折れてしまうことは確かにあります。ただ、現在見える範囲では、割れたり折れたりはしていなさそうです。根管治療時に根の中は確認しますが、現時点ではそこまで心配はいらないかと思います。

今はそこまで痛みはないのですが、治療後に痛みはありますか?

現時点で痛みはなくとも、治療後に痛みが出てくる可能性はあります。
また、根管治療を受けた歯は、歯の内部が空洞になるため、他の歯とは違う感覚が残る可能性が高いといえます。具体的には、「ひびく」「鈍いかんじ」「違和感」という感じです。これらの感覚は術後半年〜1年程度で軽減しますが、完全には戻り切らないと考えていただいた方がよいと思います。

わかりました。なんとか歯を残したいので、治療をお願いします。治療は結構な時間と回数がかかりますか?

今の状態であれば、1回で治療は終了します。そのため、次回1回で根管治療を行なって、次の経過観察は半年後となります。その間は、極力指で触ったり、コンコン叩いたり、唇を引っ張ったりしないようにしてください。触れば触るほど、感覚が過敏になり、元の状態に戻りにくくなります。

1回で終われるのですね!これまで受けた治療は、いつも治療が始まると数ヶ月かかっていたので、とても助かります。よろしくお願いいたします。

こちらの患者様の実際の治療経過については、下記の記事をご覧ください。

神経が死んだ歯を放置するとどうなるのか?の詳細については、下記の記事をご覧ください

根管治療にかかる回数の詳細については、下記の記事をご覧ください

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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