セカンドオピニオン事例

ご来院までの背景

歯茎が腫れたためかかりつけ歯科医院を受診したところ、「根の先の膿が大きく、骨も大きく溶けており、通常の治療では治せない」「MTAセメントという材料が必要」「自由診療になるが、膿が大きいならMTAセメントの方がいい」と説明を受けられた患者様です。ご自身でネットで根管治療について調べたところ、ラバーダムやマイクロスコープについて知り、かかりつけの歯科医院ではラバーダムを使用していないということから、当院を受診されました。

実際のやりとり

はじめまして。髙井です、よろしくお願いいたします。今回、右上奥歯が食事中に痛みがあったとのことですね。かかりつけの歯科医院で一度見てもらったと伺っていますが、どのような状態でしょうか?

右上奥歯の2本を治療したのは5年以上前なのですが、その時に奥から2番目の歯は「ヒビが入っているので次何かあれば抜歯しかない」と言われました。一番奥の歯は特に何も言われず、治療を終えてそのまま問題なく過ごせていました。ただ、最近になって痛みが出てきたのでいつもの歯科で見てもらったところ、2本とも抜歯してインプラントの方が良いと言われました。突然奥歯が2本なくなることに驚いたので、調べてこちらに来させていただきました。

そうだったのですね。ありがとうございます。
一度検査しますので、検査結果をもとにお話させていただきますね。

(検査後)お待たせいたしました。お口の中を拝見したところ、残念ながら奥から手前の歯(右上6番・青矢印)はすでに完全に割れてしまっている状態でした(マイクロスコープでの写真を撮影し確認)。そのため、右上6番は抜歯の適応となります。ただ、一番奥の歯(右上7番・黄矢印)はまだ残せる可能性があると思います。

やっぱり割れていたんですね…仕方ないですね。右上の奥から2番目の歯は抜歯しようと思います。一番奥歯はもう一度根管治療が必要でしょうか。

はい。ただし、右上7番については、2つの選択肢があります。ひとつは、根管治療をもう一度やり直す再根管治療で、成功率は70%程度です。もうひとつは、歯を一度抜いて根の先端部分(感染が強い部分)を切除し、悪い部分を取り除いて抜いた穴に戻す意図的再植術という治療です。意図的再植術の成功率は、85%程度です。

歯を抜いて戻すなんて治療があるなんで初めて知りました。どちらがよいのでしょうか。

まず、この2つの治療方法については、以下のようなことをご説明させていただく必要があります。
・再根管治療の成功率は根の先に病変がある場合およそ70%程度
・6〜12ヶ月が経過し治癒していなければ外科へ移行
・根管内からもクラックの有無は確認するが、歯の深部のクラックは確認できない
・根管治療で治癒がベストだが、外科へ移行し、外科時に破折が確認されることもある
・意図的再植術の成功率(生存率)はおおよそ85%
・歯を抜くため、抜いた状態で全周を確認し、クラックがないかどうかがはっきりわかる
・一度歯を抜くため侵襲はあり、抜歯時にクラックが起こる可能性もある

なかなかこの情報をもとに、患者様に選んでいただくのも難しいかもしれませんが、それぞれにメリットとデメリットがあるということです。もしも「右上7番も割れているのかもしれない」とご不安に思われるのであれば、意図的再植術は歯の全周を確認できるので、クラックの有無をはっきりと確認してクリアにすることができます。

その意図的再植術という治療は、抜いた後は全く食事ができないのでしょうか。

全く食事ができないことはありません。ただ、処置した歯の近くでは1〜2週間は極力噛まないようにしていただく必要があります。おおよそ3〜4週間ほどすれば歯は安定して生着しますが、治っているかどうかの判断には6ヶ月ほどの時間がかかるため、術後半年はできれば硬いものをガリっと噛むのは避けていただきたいです。日常生活や普段の食事は、術後数週で安定すれば問題ないことがほとんどです。

ありがとうございます。通常の根管治療をしていただき、治らなければ意図的再植術、というのもありだと思います。ただ、今の時点で割れているかどうかが気になるということと、せっかくやるなら治る確率が高い方を選びたいので、意図的再植術にしようと思います。

わかりました。それでは、意図的再植術を行なっていきます。実際の処置では、まず麻酔をして、歯をゆっくり揺らします。そして歯が抜けた後は、患者様にはガーゼを噛んでいただいた状態でお待ちいただき、その間に歯の処置を行います。概ね15分ぐらいで完了するかと思います。処置後は歯を元の部位に戻して終了です。

わかりました。何かこの治療のデメリットやリスクはありますか?

はい。まずは、戻した歯が骨とうまくくっつかないケースです。あまり確率としては高くありませんが、抜け落ちてしまうような場合です。このような場合の原因でよくあるのが、安定しない間に「硬いフランスパンをつい食べてしまいました」などの時に、一気に力がかかり不安定になるパターンです。また、歯を抜く時にできる限りゆっくり慎重に抜きますが、どうしても力がかかるため、その時にバキッと割れてしまうパターンです。このあたりは慎重に進めていきますが、どうしても完全に回避することはできません。

よくわかりました。できるだけうまくいくことを、そして割れていないことを祈ります。よろしくお願いいたします。

ありがとうございます。
あまり聞きなれない治療かもしれませんが、当院だけで行なっている特殊な治療ではなく、キチンと治療方法が確率した治療です。しっかりと準備して行いますので、よろしくお願いいたします。

この患者様の実際の治療経過はこちらよりご覧ください:
再根管治療よりも意図的再植術で治療を受けたい【40代女性】歯のクラックを確実に確認できる意図的再植術_症例53

この患者様の実際の治療動画は以下のリンクから

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意図的再植術についての詳しい説明はこちら>>

監修者情報

院長 髙井 駿佑

院長

髙井 駿佑Shunsuke Takai

経歴

  • 2007年県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医

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