症例紹介 痛みが取れない 臼歯

背景と経過

右下奥歯が2週間前からズキズキ痛いとのことで来院されました。来院時には痛みのピークは過ぎたものの、2週間前には激痛で夜も眠れないほどだったとのことです。すでに来院されたときには症状は軽減し、不可逆性歯髄炎から歯髄壊死へ移行している状態でした。

症例紹介

初診来院時の状態

元々入っていた銀歯が脱離し、内部で虫歯が確認できる状態でした。レントゲンでは、歯髄(歯の神経)に近接する深い虫歯が認められ、歯髄検査の結果から、すでに歯髄壊死(神経が死んでいる状態)であると診断できました。

関連記事:神経が死んだ歯を放置するとどうなる?リスクと治療法をわかりやすく解説

根管治療1回目

ラバーダムを装着し深い虫歯を除去すると、神経まで達していたことが確認できました。そのまま虫歯を完全除去し、歯の根の長さを測定後、ニッケルチタンファイルを使用して歯の内部の機械的拡大を行い、薬を入れて初回の治療は終了しました。

痛みが強い状態の場合、基本的には2回にわけて根管治療を行っていきます。

根管治療2回目

2回目の来院時にはほとんど痛みは消失していました。再度根の中を清掃し、根管充填・コア築造まで行い、治療は完了しました。

根管洗浄次亜塩素酸ナトリウム溶液・EDTA溶液
根管貼薬水酸化カルシウム
拡大号数MB根#40/04 ML根#40/04  D根#40/02
根管充填バイオセラミックシーラーを用いたHydraulic condensation technique

フォローアップ

術後6ヶ月時点で症状は消失していましたが、他部位の治療が必要であったため、そのまま術後12ヶ月まで経過観察となりました。
術後12ヶ月時点で全く痛みはなく、レントゲン画像でも問題なく治癒していたため、セラミッククラウンへ移行しました。

セラミッククラウン

今回根管治療を行ったのは最後方臼歯である右下7番でしたが、手前の6番にも虫歯があったため、虫歯の再発リスクを極力減らす目的でセラミッククラウンによる補綴治療を行いました。

装着後のレントゲン写真

根管治療を行った歯の予後に大きく影響するのが、補綴治療の質、つまりピッタリと歯に適合した隙間の少ないクラウンが装着できるかどうかです。せっかく根管治療がうまく治っても、クラウンの精度が低いと、将来的に虫歯の再発(二次う蝕)のリスクとなり、根の問題の再発や歯の再治療が必要となる可能性があります。今回のように、根管治療に加えて適合のよい修復物を入れることも、歯の健康のためにも重要といえます。

治療詳細

主訴眠れないほど歯がズキズキ痛い
治療内容大臼歯の精密根管治療
治療期間2回
費用154,000円(税込)
リスク・副作用根管治療を行った歯は、不快症状が数ヶ月継続する可能性があります。また、術直後は痛みが出る可能性があります。症状の軽減には、およそ半年から1年程度の期間が必要です。臼歯の根管治療歯は歯の破折リスクが上がるため、クラウンによる補綴治療が推奨されます。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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