論文紹介

タイトル

The Prognosis for Endodontic Treatment of Obliterated Root Canals

狭窄根管における非外科的歯内療法の予後について

目的

術前に石灰化(狭窄)が予測される歯の根管治療の予後を評価すること

Materials & Methods

研究形態:後ろ向き調査(retrospective case series)

対象:石灰化または根管の閉塞を伴った根管を持つ歯。治療は非外科的根管治療。

成功定義:臨床的に無症状で、放射線学的に根尖部の病変の改善または消失。

Results

全体成功率(全対象歯全体での成功率): 約89%

根尖の事前の periapical status(根尖病変の有無/大きさ)が成功率に影響

根尖病変がない症例では成功率が高い(97.9%)

根尖病変がある症例でも、適切な治療で成功率は62.5%

Conclusion

・石灰化による狭窄が術前に疑われ、穿通できない場合でも、適切な処置で良好な予後が期待できる

・限られた器具・技術しか使えない環境では、予後はこの論文より悪くなる可能性がある
 (→治療計画、治療方法の提案が治療環境により変更される可能性)

コメント

石灰化(狭窄)した根管のエンドの際に非常によく引用される論文です。

本論文では、石灰化の穿通は治癒に必須ではなく、可及的に根管系の細菌を減少されることの重要性が述べられています。

しかし、1980年代の論文であり、現代とは治療環境が異なるほか、スタディデザインも現代の視点からみると優れているとはいえません。

よって、この論文の結果をもとに、「穿通する必要がない」と言い切ることはできず、解釈に注意が必要といえます。

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

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