歯の神経を抜く治療とは!?歯の神経治療のメリットとデメリット
- 2023年10月30日
- 根管治療(歯内療法),むし歯治療
歯の神経を抜く治療とは!?歯の神経治療のメリットとデメリット
歯医者でむし歯の治療中、むし歯が大きいために「神経を抜きましょう」「神経を取る必要があります」と説明を受けたことはありませんか?
歯の神経を抜くことがどういうことなのか、歯の神経を取り除いても大丈夫なのか、本ページでは詳しく解説していきます。
大阪府豊中市 髙井歯科クリニックで行う歯の神経治療の特長
1.歯の神経の状態を精密に検査し、正確に診断を下したうえで治療を行います。
2.精密な治療によって歯の痛みを取り除き、根の先の膿の再発を防ぎます。
3.歯の神経を抜かずに済む場合、歯の神経を残す治療を推奨します。
歯の神経とは?
歯の表面はエナメル質という非常に硬い組織でおおわれていますが、その内部は空洞になっており、歯髄(しずい)という組織で満たされています。
歯髄は、神経(痛みや感覚を感じる線維)だけでなく、血管や、様々な免疫細胞から構成されています。
一般的にはこの歯髄のことを“歯の神経”と呼ばれます(本ブログでは、便宜的に歯髄組織のことを歯の神経と表現します)。
歯の神経は、痛みや感覚を感じるだけでなく、歯に栄養を与えたり、外部からの細菌の侵入に抵抗したりする働きがあります。
神経が死んでいる状態とは?
歯科医院へ行き、むし歯が大きいと診断され、神経が“死んでいます”と説明を受けたことがある方もいるのではないのでしょうか。
神経が死んでいる状態とは、むし歯によって歯髄組織が細菌感染してしまい、“壊死”してしまうことを指します。
神経が死んでしまうと、根の先で膿の袋ができたり、歯の痛みや歯ぐきの腫れに繋がります。
そのため、神経が死んでいる場合には、神経を取り除く治療が必要(根管治療)となります。
むし歯が大きいからといって、必ずしも神経が死んでいるとは限りません
本当に神経が死んでいるのかどうかは、十分な検査を行い判断しなければなりません。
神経が生きているのか死んでしまっているのかの正確な診断をくだすためには、歯の神経に対する深い知識と診断能力が必要です。
髙井歯科クリニックでは、歯の神経の診断を非常に重要視しています。
具体的には、歯に対して電気を流す、冷たいものを当てる、温かいものを当てるといった方法で、総合的に歯の神経の状態を判断します。
誤診したまま治療を進めてしまうと、患者様の痛みが取れないだけでなく、さらなる痛みを引き起こす原因となってしまいます。
歯の神経が生きているのかどうかを正確に診断することが、歯の神経を残す治療の第一歩となります。
歯の神経を抜くとはどういうこと?
歯の神経を抜くとは、歯の内部にある神経(歯髄組織)を綺麗に取り除き、根の中の細菌の数をできる限り減らす治療です。
その目的は、“歯の痛みを取ること”と“根の中の菌を減らし、根尖性歯周炎(根の先の膿)の発症を防ぐこと”のふたつです。
歯の神経を抜く治療(根管治療)は、以下のような手順で行います。
詳しくは、根管治療のページをご覧ください(根管治療の詳細はこちら)。
①むし歯を取り除く(う蝕除去)
歯の中に細菌が侵入することを防ぐために、まずはむし歯を徹底的に取り除きます。
②根の中をファイルという器具を使って清掃する(機械的洗浄)
根の先の方を、ファイルという細い針金状の器具を使って綺麗にしていきます。
③抗菌作用のある薬液で根の中を洗浄する(化学的洗浄)
いくつかの種類の薬液を使って、根の中を洗浄します。
④根の中を詰め物で封鎖する(根管充塡)
根の中で細菌が増えるスペースを防ぐために、根の中を緊密に詰め物で封鎖します。
➄歯の土台部分を作る(支台築造)
神経治療が必要な歯の多くは、むし歯により崩壊していることが多い歯です。かぶせ物をしっかりと維持するために、樹脂で土台を補強する処置を行います。
⑥かぶせものを装着する(歯冠補綴)
将来的に歯が割れてしまうことを防ぐために、かぶせもの(クラウン)を装着します(ただし、前歯で歯質が十分に残っている場合を除く)。
歯の神経を抜く治療が必要な時
①歯の痛みが強い時
ズキズキとした歯の強い痛みは、歯の神経が感じる痛みです。
そのため、歯の神経を取ることで、歯の痛みを取り除くことができます。
ただし、十分に麻酔を効かせ、そして痛みの原因となる神経を効率的かつ正確に取り除かなければ、患者様の痛みを和らげることはできません。
当院院長は、歯内療法学会専門医として、患者様の歯の痛みを取り除く方法を熟知しています。
特に痛みが激的に強い場合、初期対応が非常に重要となります。
どこまで治療を進めれば痛みが抑えられるのか、状況に応じてベストな治療法をご提供します。
ただし、歯の神経の治療後には、治療が問題なく進んでいる場合でも痛みを感じることがあります。詳しくは、来院時に歯科医師までご質問ください。
②根の先に膿の袋ができている時
感染が歯の内部から外部に広がると、根の先に膿(根尖性歯周炎)が生じ、歯ぐきが腫れたり、白い膿が出たりすることがあります。
この時の歯の神経は完全に死んでしまってる状態ですが、全く痛みを感じないことがあります。
根の先に膿ができている状態の歯に対しては、歯の神経の治療を行い、根の中の細菌をできる限り減らす必要があります。
歯の神経を抜くデメリット
歯の神経を抜くデメリットとして、以下のものが挙げられます。
・残っている歯が薄くなり、将来歯が割れるリスクが上がる
・痛みを感じないので、むし歯が再発しても気づかない
・歯の色が暗く変色する可能性がある
歯の神経は、できる限り残すことが理想的です。
特に、歯の神経を取り除いた歯とそうでない歯を比べると、将来的に歯を失うリスクに7倍の差が生じると報告されています。
歯の神経を抜いた歯を長持ちさせるために
歯の神経を抜いた歯を長持ちさせるために、回避したい二つのことがあります。
それは、“歯の破折”と“根の先の膿(根尖性歯周炎)の再発”です。
―歯の破折を防ぐために
歯の破折を防ぐためには、奥歯であればかぶせ物(クラウン)で歯の全周を覆うことが有効です。
当院でも、奥歯の根管治療を行った歯は歯根破折の予防という点から、クラウンをかぶせることを推奨しています。
特に、かみ合わせを十分に見極めたかぶせ物を作ることで、歯に過度な力がかかることを防ぎ、将来の歯の破折リスクを軽減することができます。
―根の先の膿の再発を防ぐために
根の先の膿の再発は、一度綺麗になった根の中に、細菌が再度感染してしまうことにより起こります。
それを防ぐために重要なことは、“初めの歯の神経治療の時に、できる限り根の中の細菌を減らす精密な根管治療”と、“新たなむし歯を防ぐための精密なかぶせ物治療”のふたつを行うことです。
歯の神経の治療とかぶせ物の治療の両方を高いレベルで行うことが、歯を長持ちさせるためにはとても重要となります。
歯の神経を抜かずに残す方法
むし歯が大きい場合でも、歯の神経を残すことができる可能性があります。
むし歯が非常に大きい場合、基本的には歯の神経は抜かなければならないことが多いですが、歯の状態によっては神経を抜かずに温存することが可能なこともあります。
歯の神経は、残すことによるメリットが大きく、特に将来的な歯の破折リスクを回避することができます。
歯の神経を抜かずに残すためには、ラバーダム防湿とマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した環境で治療を受けることが望ましいといえます。
この両方をそろえている歯科医院は、日本では5%未満であると言われていますが、髙井歯科クリニックでは歯内療法専門医として、可能な限り歯の神経を保存することを推奨しています。
ただし、歯の神経を保存する治療(生活歯髄保存療法)は、保険適応外となります。
詳しくは、生活歯髄保存療法のページをご参照ください(生活歯髄保存療法の詳細はこちら)。