歯を残したい 症例紹介 臼歯

背景と経過

歯茎の腫れと鈍痛を主訴に、かかりつけ歯科医院を受診したところ、神経が死んでおり根管治療が必要だが、特殊な根の形をしていてかなり難しいと説明を受けた患者様です。ご自身で ネットで根管治療について調べ、当院を受診されました。 歯髄は壊死しており、根分岐部を含む根尖周囲組織の歯槽骨の吸収が認められ、歯周ポケットは10mmのエンドペリオ病変と診断しました。 デンタル、CTにて、Radix Entomolarisを認め、Initial Treatmentではあるものの慎重な処置が必要なケースでした。 遠方からの受診であったため、1回で根管充填まで完了しました。 残存歯質を可及的に残すためにもアクセスは小さい方が望ましいとされますが、特に湾曲が強いケースにおいては、治療中の偶発症を防ぎ安全に処置を進めることを最優先し、アクセスキャビティの設定と十分なストレートラインアクセスを行っています。

この患者様のセカンドオピニオン時のやりとりについては下記をご覧ください。
▶特殊な根の形で治療が難しいケースの根管治療 40代女性患者様|湾曲が強く難易度が高い根管治療

症例紹介

初診来院時の状態 口腔内検査+通常のレントゲン写真

口腔内を詳しく検査すると、10mmの歯周ポケットが認められるエンドペリオ病変、そして歯髄検査に対して反応を示さないことから、歯髄は死んでいる歯髄壊死の状態であると診断しました。
レントゲン画像では根尖部の骨吸収が認められ、歯根が複雑な形態をしていることが推測されます。ただし、通常のレントゲンの二次元画像では根管の正確な形態の把握は困難でありCTも撮影し診断を行いました。

<関連記事>
▶「歯の神経が死んでいる」と言われた方へ|神経の確認方法とセカンドオピニオンについて

初診来院時の状態 CTによる三次元画像

CTを撮影すると、根尖周囲に大きな骨吸収像が認められます。また、下顎第一大臼歯に一定の確率で発現するRadix Entomolarisという遠心舌側根が認められました。この根管は、通常の根管よりも湾曲が強く、治療の難易度が高いことから、より慎重に治療を進める必要がある状態であると術前の状態から判断できました。
新幹線を使って遠方から来院される患者様であったため、1回で治療を終える予定となりました。

精密根管治療

術前→ファイル試適→ガッタパーチャ試適→根管充填+コア築造後

湾曲が強い根管は、器具の破折を起こさないように慎重に処置を進めました。
4根管とも根尖まで穿通し、十分な細菌の除去を行ったのちに、根管充填を行い、レジンで封鎖し治療は完了しました。

根管洗浄次亜塩素酸ナトリウム溶液・EDTA溶液
根管貼薬1回法で治療を終えたためなし
拡大号数4根管とも#30/04
根管充填バイオセラミックシーラーを用いたHydraulic condensation technique
根管内の治療開始直後
根管内の清掃中
根管内の清掃後

特に複雑な根管形態をしている場合、特にファイルを挿入する前の準備が重要です。曲がった根管にそのまま無理にファイルを入れると、簡単にファイル破折を起こしてしまいます。術前にCTによる三次元画像から難易度を把握することが、安全かつスムーズに治療を行う上で極めて大切です。

<関連記事>
▶根管治療でCTは必要?原因の特定と治療を成功させるためのCT撮影の必要性と、メリット・デメリットを解説

治療詳細

主訴複雑な根の形をしていて根管治療が難しいと言われた
治療内容下顎大臼歯の精密根管治療
治療期間1回
費用根管治療165,000円(税込)
リスク・副作用根管治療を行った歯は、不快症状が数ヶ月継続する可能性があります。また、術直後は痛みが出る可能性があります。症状の軽減には、およそ半年から1年程度の期間が必要です。臼歯の根管治療歯は歯の破折リスクが上がるため、クラウンによる補綴治療が推奨されます。

患者様のご感想

これまでなんともなかった歯に急に問題が起こり、「難しい」「治らなかったら抜くしかない」と言われ、どうなるのだろうかととても不安でした。そこから根管治療について色々調べ、こちらのホームページが一番根管治療についてしっかり説明してくれていたので受診を決意しました。〇〇県からなので(新幹線で1時間以上)伺うべきかどうか迷いましたが、こちらに来て本当に良かったです。他の歯科医院違い何度も治療に通うこともなく、治療中も痛みもなく安心して治療を受けることができました。どこかで治療を受ける前に、専門の先生に見てもらって正解だったと思います。ありがとうございました。

Drからのコメント

今回の歯は、歯周ポケットが深いエンドペリオ病変であるという点、下顎第一大臼歯の遠心舌側根管という特殊な根形態があるという点から、一般的には非常に難易度が高い症例に分類されます。術前のCTを精査し、さらに根管治療中の器具操作や使用材料の選択も慎重に行い、問題なく治療完了まで進めることができました。
骨の吸収が大きいため、治癒におそらく1年程度の時間を要すると思われますが、成功率は80〜85%程度であり、徐々に歯周ポケットも回復すると予想されます。

 

本症例と関連する他の根管治療の事例はこちら

▶歯の根が大きく曲がっている歯の根管治療【30代女性】湾曲根管と難易度が高い根管治療_症例28
▶奥歯の根管治療は難しいと言われ、専門医に治療を受けたいと思い調べて来院 【30代女性】複雑な形態の根管治療_症例32
▶複雑な根の形をしている難易度の高い歯の再根管治療【50代女性】_症例27左上奥歯の痛み・再治療が困難な症例

監修者情報

院長 髙井 駿佑

経歴

  • 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年 髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医
clinic

〒561-0872
大阪府豊中市寺内2丁目13-1 緑地ステーションビル1F

06-4867-4850 WEB予約