根管治療コラム

「根管治療中に『パーフォレーション(穿孔)があります』と言われたけれど、これはもう抜歯するしかないのだろうか」「治療中に穴が開いたと聞いて不安で、何を信じて判断すればいいのか分からない」

このようなお悩みでご相談に来られる方は少なくありません。

パーフォレーションとは、根の中の治療(根管治療)の途中で歯の内側の壁に穴が開き、周囲の組織とつながってしまうことを指します。穴があると、細菌が常に歯の内部に侵入する経路になり、炎症が続いたり、骨に影響が出たりして、歯を残すことが難しくなる可能性もあります。一方で、パーフォレーションは見つかったタイミングや穴の場所・大きさ、感染の程度によっては、専門的な処置を行うことで歯を残せる可能性が十分にあります。

ただし、焦って無理に処置を進めたり、十分な処置が行えない場合、穴が広がったり、歯の根に負担がかかったりして、かえって歯の寿命を縮めてしまうこともあります。だからこそ大切なのは、「本当にパーフォレーションが起きているのか」「どこに、どの程度の穴があるのか」「感染がどこまで広がっているのか」を、レントゲン・歯科用CT・マイクロスコープなどを用いて正確に見極めたうえで、歯にとって最も良い方針を選ぶことです。

パーフォレーションが起こっている歯の治療は、治療を担当する歯科医師が、歯内療法(歯の根の治療の分野)を専門的に行えるかどうかが鍵を握ります。髙井歯科クリニックでは、精密な検査と丁寧な診断を通じて、「歯を残せる可能性があるか」「どの方法が歯を長持ちさせやすいか」を重視して治療方針をご提案し、歯にとって最適な治療を行います。これまでに多くのパーフォレーションの治療を行っており、他院で抜歯を勧められた方や、診断に迷いがある方のセカンドオピニオンにも対応しています。

目次

パーフォレーション(穿孔)とは|歯の内部の壁に穴が開く

パーフォレーション(穿孔)とは?根管治療中に「歯に穴があいた」と言われた方へ|原因・症状・治療と予後

パーフォレーションとは、歯に穴があくことで、根の中と外が交通している状態を指します。これの何が問題かというと、あいた穴の部分が細菌感染の交通路となってしまい、「根の中の細菌を減少させる」という根管治療の目的達成の妨げになるからです。また、パーフォレーションは穴の部分が細菌のすみかとなってしまい、周辺の骨の吸収や組織の炎症へとつながる可能性もあります。

パーフォレーションが起こっても歯を保存できる可能性はありますが、歯の予後にとってはマイナスであり、早期に適切な処置を受けることが重要です。

代表的なパーフォレーションのタイプ

代表的なパーフォレーションのタイプ

パーフォレーションは、歯の内部に穴があく偶発症ですが、歯の”どの位置に”穴があいてしまうかによって、いくつかのタイプにわけることができます。

根分岐部(ファーケーション)付近の穿孔

根分岐部(ファーケーション)付近の穿孔

大臼歯は歯の根が2つあるいは3つに分岐しており、その分岐部分を根分岐部といいます。この根分岐部(ファーケーション)は、根管治療の器具操作時に穿孔しやすいだけでなく、後述するポスト形成時(歯の土台を立てる時の処置)にも穿孔しやすい部位であるといえます。特に、このタイプのパーフォレーションは歯茎の周りの組織(歯周組織)への影響が生じやすく、歯周ポケットの形成や骨吸収が起こりやすい部位であるといわれています。

ストリップパーフォレーション

ストリップパーフォレーション

2つ目のストリップパーフォレーションは、ファイルという器具を使って根管内を切削している時に起こりやすい偶発症です。特に、湾曲している(曲がった)根管や、歯の根が元々細い歯、何度も治療を繰り返している歯に起こりやすいパーフォレーションです。術前のレントゲンやCTではわからない場合も多く、再根管治療時に初めて判明することもあります。

アピカルパーフォレーション(根尖破壊)

アピカルパーフォレーション(根尖破壊)

3つ目のアピカルパーフォレーションとは根尖部分が大きく開いている状態を指します。通常、根管は先端にいくにしたがって狭窄していますが、器具操作などによって根の先付近が大きく開いている状態になると、歯の中を緊密に封鎖することが難しくなります。

ポスト形成(支台築造)時の穿孔

ポスト形成(支台築造)時の穿孔

根管治療(歯の神経の治療)が終わった歯は、元々あった歯の上部の歯質が大きく失われていることが多いため、その上に被せ物を安定して装着する目的で「ポスト」と呼ばれる土台を立てることがあります。ポストとは、歯の根の中に芯を作り、その上に被せ物を支えるための大切な基礎のような役割を果たすものです。

このポストを入れるためには、歯の根の中を細く整える処置が必要になります。しかしこのとき、削る量が多すぎたり、削る方向がわずかにズレてしまったりすると、歯の根に穴があいてしまい、パーフォレーションを起こしてしまうことがあります。ポスト形成時のパーフォレーションは、レントゲンでは分かりにくいものの、起こってしまうと歯の寿命に大きく影響する可能性があります。そのため、ポスト形成は特に慎重さと精密さが求められる治療工程のひとつといえます。

⚠️専門的解説

根管治療後に失われた歯質を回復するためのポストですが、より詳しく解説すると、「歯の内部に挿入する支柱のことをポスト」といい、「虫歯などで失われた歯質を回復させるメイン部分をコア」といいます。上記の金属製の土台の場合、ポストとコアが一体となっているため、ポストコアと表現します。このポストコアの作製方法は2種類あり、歯に直接レジン系の材料を流して硬化させる”直接法”と、型取りをして歯科技工士が作製し、その後出来上がったものを口腔内に接着剤で装着する”間接法”にわけることができます。ポスト形成が必要となるのは、主に”間接法”(型取りをする方法)であり、根管治療後の歯質に対してポストスペースの形成(削る)時にパーフォレーションを起こすリスクがあります。しかし、”直接法”の場合、材料を流し込んで固めるため、ポスト形成が必要なく、パーフォレーションを起こすリスクもありません。また、間接法では型取りのために、根管内に唾液が入り込むことがどうしても避けられません。そのため、髙井歯科クリニックでは、根管治療後のポストコアについては、100%直接法で行っています。

そもそもなぜ根管壁に穴が開くのか?

そもそもなぜ根管壁に穴が開くのか?

なぜ、治療を受けているだけなのに歯の中に穴があいてしまうということが起こるのでしょうか。実は、歯は単純な同一形態ではなく、1本1本で形が異なり、さらに個人差も大きいという特徴があります。また、歯の根の中は非常に細く、さらに曲がっていたり、部位によっては歯質が非常に薄くなっている部位もあります。そのような状況の中で「1mmにも満たない狭く暗い中での繊細な処置」が必要になるため、ほんのわずかなエラーが歯の内側の壁に穴をあけてしまうのです。

歯に穴があく理由はひとつではなく、いくつかの要因が重なることで起こります。マイクロスコープ下で注意深く処置を行えばかなりの確率で発生を防ぐことができますが、どれだけ気をつけていても100%防ぐことは難しく、一定の確率で起こりうる偶発症であるといえます。

パーフォレーションが起こりやすい歯・条件

パーフォレーションが起こりやすい歯・条件

パーフォレーションが起こりやすい歯の条件としては、上記の3つが挙げられます。いずれも、根管治療を難しくする要因であり、本来の根の入り口が見つからない場合や、歯の根が湾曲している場合に起こりやすいといえます。また、下顎よりも上顎の歯で、前歯よりも臼歯で起こりやすいと報告されています。

治療中の「偶発的な穿孔」は、どのタイミングでも起こり得る

治療中の「偶発的な穿孔」は、どのタイミングでも起こり得る

根管治療を開始してから、治療後のポスト形成時まで、歯の根の中の治療を行う際には、どのタイミングでもパーフォレーションは起こり得ます。特に、最も大きな要因は「歯の中が見えにくいこと」と「無理な器具操作を行ってしまうこと」にあります。しかし、これは、破折ファイルと同様に、医療者側の単なるミスとは言い切れません。

また、パーフォレーションを起こしたからといって、必ずしも治らない(あるいは抜歯になる)かというと、決してそうではありません。大事なのは、「パーフォレーションが起こった後にどう対応するか」です。パーフォレーションへの対応は、より専門的な処置が必要となりますが、決して諦めないことで、大切な歯を残すことができる可能性はあります。

根管治療のやり直しの際はよりリスクが上がる

根管治療のやり直しの際はよりリスクが上がる

根管治療は、初めて根の中の処置を行う初回治療(抜髄・Initial Treatment)よりも、過去の治療のやり直しである再根管治療(感染根管治療・Re-Treatment)の方が、難易度が上がります。これは、過去の治療で使われた材料が根の中に残っていたり、すでに大きく歯が削られていることがあるためです。

古い詰め物などに隠れて、本来の根管が見つかりにくいこともパーフォレーションが起こりやすい要因であり、「根管治療のやり直しを行ったら、実は以前の詰め物の下でパーフォレーションが起こっていた」ということも決して少なくありません。

>>根管治療は、過去に治療を受けた歯の再治療の方が成功率が下がる〜再治療を防ぎ、歯を長持ちさせるために大切なポイント〜

根管治療中の偶発症として「破折ファイル」にも注意が必要

根管治療中の偶発症として「破折ファイル」にも注意が必要

根管治療時に起こりやすい偶発症として、パーフォレーション以外に破折ファイルというものがあります。破折ファイルとは、根管治療で使用するファイルという細い器具が根の中で折れてしまうことを指します。特に、パーフォレーションと同様に、曲がっている根管や狭窄している根管など、難易度が高い根管治療の際に起こりやすいといえます。

>>根管治療で器具が折れて針が残る「破折ファイル」とは|除去の必要性と判断基準

歯そのもののダメージが原因で穴があくこともある

歯そのもののダメージが原因で穴があくこともある

パーフォレーションは、単に治療上のエラーだけが原因とは限りません。元々歯の内部で虫歯が深く進行している場合、虫歯になっている部位を取り除くと、残った歯に穴があくこともあります。

重度の虫歯になっている場合、その後の補綴治療(かぶせもの)に耐えることができず、長期的な予後が期待できません。そのため、虫歯を除去して歯に穴があく場合やほとんど歯が残っていない場合は、抜歯の適応であるといえます。

パーフォレーションが疑われる症状・サイン

ここでは、パーフォレーションが疑われる症状やサインについて解説します。しかし、これらの症状はあくまで一例であり、実際には画像診断や、マイクロスコープで根管内部を精査して初めて確定できます。

よくある症状

よくある症状

根管治療に関連したよくある症状(痛み・腫れ・違和感・噛むと痛い)が、パーフォレーションによっても起こることがあります。特に、パーフォレーションが歯周ポケットと交通していると、歯茎の腫れや膿として現れることもあります。

ただし、これらの症状はパーフォレーションで起こる特徴的な症状ではなく、通常の根の先の膿(根尖性歯周炎)によっても起こり得ます。そのため、「上記の症状=パーフォレーションの疑い」と言い切ることはできません。

>>フィステル(歯茎の白いできもの)とは?症状・原因・治療法を日本歯内療法学会専門医が詳しく解説

治療中に起こるパーフォレーションのサイン

治療中にパーフォレーションが起こったとしても、患者様が自身で気づくことはあまり多くありません。特に、局所麻酔下で治療を受けている場合、感覚が鈍くなっているため、パーフォレーションには気づきにくいと考えられます。しかし、麻酔なしで治療を受けている場合、歯の切削中に突然強い痛みを感じた場合や、ズドンと何か抜けたような、器具が逸れるような感覚があった場合、パーフォレーションが起こったサインである可能性もあります。

無症状のパーフォレーションが見つかるケース

パーフォレーションは、レントゲンやCTで偶発的に判明する場合もあります。特にCTによる三次元画像では、様々な方向から歯の状態を確認できるため、通常のレントゲンに比べてパーフォレーションが検出される可能性が高いといえます。また、無症状であったパーフォレーションが、再根管治療時に初めて見つかることもあります。

パーフォレーションを放置すると起こりうること

パーフォレーションを放置すると、歯の内部と外部の交通から感染が持続し、炎症や周囲の骨の吸収が進行する可能性があります。刻一刻を争う緊急性がある状態ではありませんが、パーフォレーションへの対応で最も望ましいのは、「起こってからなるべく早期に適切に対処・封鎖すること」であるといえます。

パーフォレーションの診断方法

パーフォレーションの診断は、痛みや腫れなどの臨床症状では断定できません。画像検査や、マイクロスコープによる視診など、いくつかの検査を組み合わせることによって初めて診断できます。

普通のレントゲンで分かること・分かりにくいこと

通常撮影するレントゲン写真でパーフォレーションがわかることはありますが、検出できる確率としては決して高くありません。その理由として、通常のレントゲン写真は、一方向からの撮影であるため、穴が空いている部位や歯の周囲の骨の状態が正確に把握できないからです。虫歯や修復物の適合、大まかな周囲の骨の状態、根の先の病変の有無などは通常のレントゲンでもわかりますが、根管治療に関する精査を行う場合、CTの方が多くの情報を得ることができます。

歯科用CTで分かること

歯科用CTで分かること

通常のレントゲンに比べ、CT画像を撮影すると、三次元的に様々な方向から、歯の状態を確認することができます。特に、骨の吸収の位置などから、パーフォレーションの存在が推測されることも少なくありません。CTですべてのパーフォレーションがわかるわけではありませんが、CTを撮影して術前に歯の状態を推測することで、より歯にとってベストな治療を選択することができます。

>>根管治療でCTは必要?原因の特定と治療を成功させるためのCT撮影の必要性と、メリット・デメリットを解説

マイクロスコープを使うことのメリット

マイクロスコープを使うことのメリット

マイクロスコープの最も大きな利点は、肉眼では非常に見えにくい細かな部位を、明るい視野で、大きく見ながら確認することができるという点です。これによって、パーフォレーションを起こさないように正確な処置が可能となるだけでなく、すでに起こっているパーフォレーションに対しても、ピンポイントで封鎖処置を行うことができます。

ただし、マイクロスコープを使いこなす(強拡大下で意図した細かな処置を行うこと)には、多くの経験が必要であり、使いこなすことができるかどうかという術者側の技量も治療結果に大きく影響します。

歯ぐきの状態のチェックも重要

歯ぐきの状態のチェックも重要

パーフォレーションは、歯の内部と外部との交通状態であり、歯の周りの歯周組織に炎症が起こることで、歯茎の腫れやポケットの増加などが起こることがあります。特に歯周ポケットは、歯周病の進行の指標となりますが、「口腔内全体で歯周病の傾向がないのに、根管治療を受けた歯だけ深いポケットがある」という状態は、歯そのものにパーフォレーションなどの問題が起こっている可能性が示唆されます。

ただし、限局した歯周ポケットは、パーフォレーション以外にも、根の先の膿や、歯根破折によっても起こり得ます。そのため、歯茎の状態だけで、パーフォレーションの診断をくだすことは難しいといえるでしょう。

>>歯茎が腫れて押すと痛い|原因と放置するリスク、根管治療などの正しい対処法

当院のパーフォレーション治療について

髙井歯科クリニックでは、日本歯内療法学会専門医として、多くのパーフォレーション症例を治療している実績があります。パーフォレーションが起こっていると、歯の治療の成功率は低下しますが、適切なアプローチで歯を残すことができる可能性があります。

まず大切なのは根管を清潔に保つこと

まず大切なのは根管を清潔に保つこと

パーフォレーションの有無にかかわらず、根管治療において最も重要なことは、根の中を清潔に保つことです。そのためには、ラバーダム防湿による無菌的環境下で、肉眼では見えない細かな処置を行う技術が求められます。

>>髙井歯科クリニックが行う精密根管治療の流れ

穴をふさぐ材料を適切に選択する

穴をふさぐ材料を適切に選択する

パーフォレーションは、歯にあいた穴を内部から材料で封鎖する必要があります。その第一選択となるのが、MTAセメントという材料です。MTAセメントとは、生体にとって親和性が高い修復材料であり、現在パーフォレーションリペアにおいては最も有用であるといわれています。

ただし、現在では多くの歯科医院でMTAセメントは使用されていますが、単にMTAセメントを使用すればパーフォレーションは治せるわけではありません。感染源を除去し、MTAセメントを緊密に充填し、外部からの細菌感染を防ぐことが必要となります。

そのためには、マイクロスコープを駆使して様々な専用の器具を使用しますが、パーフォレーションのリペアは通常の精密根管治療以上に難易度が高く、専門的なアプローチが必要であるといえます。

場合によっては外科的な方法を検討する

場合によっては外科的な方法を検討する

パーフォレーションの治療は、根管内からのアプローチでは物理的に困難な場合もあります。そのような場合においては、外科的歯内療法(歯根端切除術・意図的再植術)を行い、歯の外側からパーフォレーションの封鎖を行うことが望ましいケースもあります。

外科的歯内療法は、通常の根管治療では治らない場合や、根管治療が行えない状況での、歯を残すための最後の手段です。特にパーフォレーションが起こっている歯の場合、治療の難易度はさらに上がります。術前の精査や治療の成功率、歯の状態や患者様のご希望などから、最善の選択肢を提案いたします。

>>外科的歯内療法とは?歯根端切除術・意図的再植術の違いや選択肢を解説【大阪の歯内療法専門医】

パーフォレーションで抜歯宣告された方へ

パーフォレーションは、歯にとっては大きなダメージとなるため、望ましい状態ではありません。歯を残すことができるか否かは、歯の状態によって可能性が大きく異なります。ここでは、抜歯が妥当なケースと、残せる可能性があるケースについて解説します。

抜歯が妥当だと思われるケース

抜歯が妥当だと思われるケース

パーフォレーションは、状況によっては歯の保存が難しい場合もあります。特に、空いている穴があまりにも大きい場合や、残っている歯がほとんどないような場合、その後の治療に耐えることができません。他にも、歯の根にヒビが入っている(歯根破折)、歯周病が重度に進行しているような場合も、抜歯の適応となります。

また、パーフォレーションの予後にフォーカスすると、歯周ポケットと交通している歯や、穿孔のサイズが3mmを超える場合、パーフォレーション治療成績が低いことが報告されています。さらに、穿孔から時間が経過しているほど感染が進んでおり、「いつパーフォレーションが起こったか」も重要な要因であるといえます。

  • 虫歯が大きいことによって歯に穴があいている
  • 残っている歯がほとんどない
  • 歯が割れている、折れている
  • パーフォレーションの大きさがあまりにも大きい

上記のような場合には、残念ながら抜歯の適応であるといえるでしょう。

セカンドオピニオンを受ける価値のあるケース

セカンドオピニオンを受ける価値のあるケース

パーフォレーションは、以前は致命的な歯のダメージとして考えられてきましたが、近年の研究では比較的成功率は高いことが報告されています。特に、短期的に見るとMTAセメントを使用して緊密に封鎖した場合、高い確率で治癒するといわれています。しかし、10年以上が経過すると徐々に再発するケースが増加するともいわれており、どこまで維持できるかは歯の状態次第であるといえます。

先述のように、虫歯が大きく歯に穴があいたような場合、歯を保存することは非常に難しいですが、根管治療時やポストコア形成時に起こった穿孔の場合、歯を残すことができる可能性はあります。

パーフォレーションは、その歯科医院が歯の根の治療にどこまで精通しているかによって、対応できるか否かが異なります。「根管治療を開始したが、歯に穴があいているため治らない」と言われた方も、一度専門医へ相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ:パーフォレーションは「正確な確認」と「適切な処置」で結果が変わる

根管治療中に「パーフォレーション(穿孔)がある」「歯に穴があいている」と説明を受けると、多くの方が「もう抜歯しかないのでは」と感じてしまいます。実際、担当する歯科医師からも、「穴があいているから抜歯するしかない」と言われることも少なくありません。

もちろん、本当に残せない状況であることもあります。しかし、パーフォレーションは穴のあいた部位・大きさ・感染の程度・発見されたタイミングによって、歯を残せる可能性が大きく変わる問題です。

大切なのは、慌てて処置を進めることではなく、本当に何が起きているのかを正確に確認し、歯の寿命を最優先に治療方針を考えることです。

もし「抜歯と言われたが何とか治療を受けた治したい」「治療を続けているが治らないので何とかしたい」と感じているなら、次の治療に進む前に、専門的な視点で現状を整理しておくことが、後悔しない選択につながります。

>>パーフォレーションに関連する症例

>>上記患者様の初診時のやりとり・セカンドオピニオンについて

パーフォレーションに関するよくあるご質問(FAQ)

Q. 歯科治療で起こるパーフォレーションとは何ですか?

A. パーフォレーション(穿孔)とは、根管治療中やポスト形成時に、歯の内部の壁に穴があき、歯の中と外が交通してしまった状態を指します。細菌が侵入する感染経路となり、歯の予後に大きく影響します。

Q. パーフォレーションがあると抜歯になりますか?

A. パーフォレーションがある場合でも、必ず抜歯になるわけではありません。穴の位置・大きさ・感染の程度、発見されたタイミングによっては、マイクロスコープMTAセメントなどを用いた専門的な処置で歯を残せる可能性があります。

Q. パーフォレーションはレントゲンで分かりますか?

A. 通常のレントゲンでは分かりにくいことも多く、歯科用CTやマイクロスコープによる確認が重要です。CTでは三次元的に骨の吸収や穿孔部位を推測できるため、診断精度が高まります。しかし、術前に100%の精度でパーフォレーションを診断することはできません。

Q. パーフォレーションの治療にはMTAセメントが使われるのですか?

A. はい。現在、パーフォレーションリペアの第一選択はMTAセメントとされています。ただし、単にMTAセメントを使うだけでは不十分であり、ラバーダム防湿による無菌的環境下で、感染源の除去と緊密な封鎖を行うための専門的な技術が必要です。

Q. パーフォレーションのリペアとはなんですか?

A. パーフォレーションは、歯の内部に穴があいている偶発症です。そのため、その穴の部分を封鎖する必要があり、そのような処置を”パーフォレーションリペア”といいます。

Q. パーフォレーションの治療にスーパーボンドがよいと聞いたのですが、MTAセメントと比べてどちらがよいのでしょうか?

A. スーパーボンドは日本で開発された非常に強力な接着剤であり、その特性からパーフォレーションの封鎖にも使用されてきました。いくつかの文献では良好な成績も報告されていますが、世界的にみるとMTAセメントの使用が第一選択とされています。多くの文献がMTAセメントの有効性を証明していることから、当院ではMTAセメントをパーフォレーションの治療に使用しています。

Q. パーフォレーションを放置するとどうなりますか?

A. パーフォレーションを放置すると、慢性的な炎症や骨吸収が進行し、歯を残せなくなるリスクが高まります。緊急性が極端に高い状態ではなくても、早期に適切な対応を行うことが重要です。

Q. パーフォレーションの治療は早い方がよいとありましたが、1日でも早く治療を受けるべきでしょうか?

A.いいえ。パーフォレーションの治療は早い方がよいのは間違いありませんが、一刻一秒を争う緊急性はありません。半年〜数年放置することはあまり望ましくありませんが、数週間程度であれば予後に大きく影響することはないと考えられます。

Q. 他院で「穴があいているから治らない」と言われました。相談する意味はありますか?

A. はい。パーフォレーションは、歯内療法にどこまで精通しているかで判断や対応が大きく変わる分野です。抜歯と診断された歯でも、条件次第では保存できるケースがあります。

Q. 再根管治療の場合、パーフォレーションのリスクは高くなりますか?

A. はい。再根管治療は初回治療より難易度が高く、過去の治療で歯が薄くなっている場合はリスクが上がります。そのため、精密な診断と慎重な処置が不可欠です。

Q. パーフォレーションと一緒に歯が折れていると言われましたが、抜歯を避けることはできますか?

A. 状況にもよりますが、歯が折れている、割れている、破折している場合、歯の保存は不可能であり、抜歯の適応となります。また、虫歯により歯に穴があいている場合も、残っている歯質が脆弱であることから、抜歯の適応となります。

Q. パーフォレーションが起こると痛みがでますか?

A. パーフォレーションが起こったとしても、必ずしも痛みが出るとは限りません。痛みを伴うこともありますが、歯の根の問題に付随することが多く、パーフォレーションに特徴的な症状であるとはいえません。

Q. パーフォレーションは医療ミス、医療事故ではないのでしょうか?

A.いいえ。パーフォレーションは、医療ミス・医療事故とはいえず、治療における偶発症であるといえます。適切な管理のもと、通常の治療の下で生じたパーフォレーションについては、医療事故・医療ミスには該当しません。

医療ミス・医療事故とは、本来防げたはずの結果が医療側の過失によって起きた場合を指します。一方でパーフォレーションは、歯そのものの要因にも左右されるため、たとえ適切な治療手技や器具管理を行っていても一定確率で発生する“偶発症”として扱われる事象です。

パーフォレーションに関する前医への法的訴訟、責任追及に関する相談については、当院では対応いたしかねます。弁護士の先生へご相談ください。

Q. パーフォレーションがあっても歯を残せる可能性はありますか?

A.はい。パーフォレーションが起こっている場合でも、状況によっては歯を残せる可能性は十分あります。ただし、パーフォレーションのリペア(封鎖)は、根管治療の中でもさらに専門性が高い治療となります。より確率の高い治療を希望される場合、専門的な医療機関を受診する方がよいでしょう。

Q. パーフォレーションの予後はどれぐらいですか?

A. 以前まで、パーフォレーションが起こっていると治療の成功率は50%以下であると報告されていました。しかし、近年ではマイクロスコープの普及やMTAセメントの使用などによって、その成功率は以前よりも高い数値が報告されています。しかし、長期的(10年以上)の経過を見ると、一度治った問題が再発することもあり、どこまで良好な状態が維持できるかは歯の状態次第であるといえます。

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