背景と経過
数年前に根管治療を受け金属の被せ物を装着した歯が再発した患者様です。治療を受けた当初は、当時のかかりつけの先生に勧められた治療をそのまま受けたものの、痛みや腫れが再発し、それをきっかけに歯の治療についてご自身で調べ、ラバーダムやマイクロスコープの必要性を知ったとのことでした。また、根管治療が治っても、被せ物(クラウン)の治療が不十分だと再発するリスクが高まると知ったため、根管治療と被せ物の治療の両方ともしっかり治療をしてもらえる歯科医院を探し、当院を受診されました。
症例紹介
初診来院時の状態

右下第二大臼歯には、根の先に明らかな透過像(黒い影)が認められました。そして、金属と思われる太いポストコア(歯の内部に挿入する芯の棒のような材料)と、メタルクラウンが装着されていました。
レントゲンからは明らかな破折を疑う所見は認められませんでしたが、修復物を除去すると内部で破折を起こしている可能性についてお話しした上で、治療開始となりました。
精密根管治療

下顎7番は、様々なバリエーションに富んだ形態をした根管が多い歯です。この歯は、扁平かつ広い1根管性の歯でした。一見すると簡単そうに見えますが、内部を十分に清掃し、緊密に封鎖するには、様々なテクニックが必要となります。今回は患者様のご都合もあり、2回の治療で根管治療を終えました。
| 根管洗浄 | 次亜塩素酸ナトリウム溶液・EDTA溶液 |
|---|---|
| 根管貼薬 | 水酸化カルシウム |
| 拡大号数 | 60/02 |
| 根管充填 | バイオセラミックシーラーを用いたシングルポイント法 |
経過観察

もともとあった根の先の透過像(黒い影)は大きく縮小し、改善傾向が認められます。
この状態になれば経過良好と判断し、被せ物へ移行しました。
クラウンによる補綴治療

根管治療を行った歯は、根管治療の質と同じかそれ以上に、被せ物の精度が重要になります。なぜなら、被せ物がしっかりと適合していない(隙間や段差が大きい)と、その隙間から二次的に虫歯が発生し、根の中に細菌が新たに侵入する可能性があるからです。
患者様のご感想
今回、根の治療と被せ物の治療の両方をしっかりやってくれる歯科医院で治療を受けたいと思い受診しました。初めてラバーダムを使って根の治療を受けましたが、思ったよりも楽に安心して受けることができました。また、被せ物もデジタルの新しい機器を使って、装着後も快適に過ごすことができています。保険外ということでもちろん費用はかかりましたが、大切な歯なのでこちらで治療を受けてとてもよかったです。
Drからのコメント
患者様がおっしゃっていたとおり、根の先の問題を治療する時には、根管治療はもちろんですが、それと同じかそれ以上に補綴治療(被せ物の治療)のクオリティも重要です。
当院はジルコニアクラウンを第一選択としていますが、材料よりも、いかに精密にクラウンの治療をできるかが大切です。具体的には、支台歯形成(歯の形を整えること)を適切にできるか、必要に応じて歯肉圧排を行っているか、型取りは精密に行えるか、クラウンを作る技工士は技術と経験が豊富か、などです。これらをしっかりとクリアしようとするとどうしても自由診療の領域になりますが、その分、歯の健康にとって優れた修復物を装着することが可能となります。
治療詳細
| 主訴 | 根管治療と被せ物の両方をしっかりと受けたい |
|---|---|
| 治療内容 | 下顎大臼歯の精密根管治療 |
| 治療期間 | 2回 |
| 費用 | 187,000円(税込) |
| リスク・副作用 | 根管治療を行った歯は、不快症状が数ヶ月継続する可能性があります。また、術直後は痛みが出る可能性があります。症状の軽減には、およそ半年から1年程度の期間が必要です。臼歯の根管治療歯は歯の破折リスクが上がるため、クラウンによる補綴治療が推奨されます。 |
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監修者情報 院長 髙井 駿佑Shunsuke Takai 経歴 資格



