症例紹介 歯を残したい 臼歯

背景と経過

歯茎が腫れて押すと痛みがあり、近くの歯科医院を受診し、CTを撮影したところ「根の先の膿が大きく、骨がかなり溶けている。この大きさは根の治療では治らないので口腔外科で抜歯した方がいい。」と説明を受けたとのことでした。広範囲の骨吸収が認められる状態でしたが、通常の根管治療をしっかりと行うことで骨は再生し、歯を問題なく残すことができたケースです。

症例紹介

初診来院時の状態

左下7番は、通常のレントゲン画像では根の先にぼんやりと黒い影が見える状態ですが、CTで精査すると、はっきりと骨の吸収が認められる状態でした。前医では、おそらくこの骨吸収の大きさから、抜歯適応と診断されたと予想されます。
根管そのものは特殊な形態ではなく、歯質も十分に残っていることから、根管治療の適応であると判断しました。
この状態での治療の成功率はおおよそ85%であり、根の先の膿(骨吸収)の大きさは影響しないとご説明しました。

精密根管治療

根管治療は1回の治療で完了しました。根管自体は複雑な形ではなく、通法どおりラバーダムとマイクロスコープを使用して、根管治療を行いました。

根管洗浄次亜塩素酸ナトリウム溶液
根管貼薬なし
拡大号数M根#50/04 D根#50/04
根管充填バイオセラミックシーラーを用いたシングルポイント法

経過観察

根管治療から12ヶ月が経過し、CTにてはっきりと根の先の骨の回復が認められました。
症状もなく経過良好と判断し、最終的なクラウンへ移行することになりました。

患者様のご感想

骨がかなり吸収して無くなっていると聞き、ここに来る前に別の歯科医院にも相談にいきましたが、同じく「治らない」「抜いた方がいい」という回答でした。ただ、ここでは「膿の大きさよりも、しっかりとした治療を受けることがとても大切」 「膿が大きくても治るかどうかにはあまり関係ない」とお聞きし、治療をお願いすることにしました。治療の前から、何%ぐらいで治るのか、治らなかった場合はどうなるのかなど詳しく教えてくださり、とても安心して治療を受けることができました。無事に治ってよかったです。ありがとうございました。

Drからのコメント

多くの歯科医院では、“骨の吸収が大きい=残すのが難しい”と判断されます。しかし、様々な文献を見ると、骨の吸収が大きい歯は、治るのに時間はかかるものの、治るかどうかの分岐にはあまり影響しないとも言われています。そのため、今回の歯では通常通りの精密根管治療を行い、無事に骨も回復、患者様の症状もなくなり、良好な経過をたどっています。

治療詳細

主訴膿が大きく抜歯と言われた歯を残したい
治療内容下顎大臼歯の精密根管治療
治療期間1回
費用187,000円(税込)
リスク・副作用根管治療を行った歯は、不快症状が数ヶ月継続する可能性があります。また、術直後は痛みが出る可能性があります。症状の軽減には、およそ半年から1年程度の期間が必要です。臼歯の根管治療歯は歯の破折リスクが上がるため、クラウンによる補綴治療が推奨されます。

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監修者情報

院長 髙井 駿佑

院長

髙井 駿佑Shunsuke Takai

経歴

  • 2007年県立宝塚北高等学校 卒業
  • 2013年国立鹿児島大学歯学部 卒業
  • 2014年大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
  • 2016年医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
  • 2019年医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
  • 2023年髙井歯科クリニック 開院

資格

  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 米国歯内療法学会 会員
  • 日本外傷歯学会 認定医

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