目次
背景と経過
顔全体に広がる強い痛みがあり、かかりつけ歯科医院を受診したところ、根の先に膿がたまっているとのことから根管治療を開始した患者様です。2ヶ月にわたり数回治療を続けましたが日に日に痛みが強くなり、来院前日にはあまりの痛みから大学病院の夜間診療を受診していたほどでした。根の先の病変(根尖性歯周炎)が急性症状を起こしている状態であり、早期に痛みを軽減する必要がある状態でした。
この患者様のセカンドオピニオン時のやりとりについては下記をご覧ください。
根管治療を続けているが痛みが強くなっている40代女性患者様|根の先の膿の急性炎症と痛みを取り除く適切な対応
症例紹介
初診来院時の状態

レントゲン・CT画像にて、右下第一大臼歯の根尖部に、明瞭な骨吸収像が認められます。来院時には根管治療の途中の状態でしたが、内部に虫歯が残っており、感染源が取り除けていない状態でした。急性炎症に対して確実な即効性がある治療はありませんが、最大限感染を除去し、細菌の侵入を防ぐことを第一に応急対応を行いました。
精密根管治療 1回目


根管内の感染を取り除くため、ニッケルチタンファイルを使用して根管内を形成後、抗菌作用がある次亜塩素酸ナトリウム溶液でしっかりと洗浄しました。根管内には水酸化カルシウムを貼薬し、外部からの細菌漏洩を防ぐために緊密に仮封し一度目の治療を終了しました。
精密根管治療 2回目


患者様の術後「治療後2〜3日は腫れはありましたが、痛みは治療の翌日にはかなりマシになりました。今(初回治療から2週間後)は腫れている感じもかなり引いて、痛みはほぼなく、違和感がある程度です」
一度目の治療で2ヶ月間にわたる痛みは大きく軽減していました。根管充填とコア築造を行い、このまま6ヶ月の経過観察となりました。
| 根管洗浄 | 次亜塩素酸ナトリウム溶液・EDTA溶液 |
|---|---|
| 根管貼薬 | 水酸化カルシウム |
| 拡大号数 | MB根#50/04 ML根#50/04 D根#40/04 |
| 根管充填 | バイオセラミックシーラーを用いたHydraulic condensation technique |
フォローアップ
術後6ヶ月の経過観察


術後6ヶ月が経過時点でのレントゲン・CT画像では、もともとはっきりと写っていた根の先の黒い部分は消失し、骨の回復が認められます。痛みも全くなくなり、治癒していると判断し、最終補綴(かぶせもの)を行うことになりました。


患者様のご感想
根管治療を受けていましたが、ここでやってもらう治療は全然違いました。もちろん何をされているのかは素人なのでわかりませんが、治療前に説明してもらえたり、治療中の画像を見せてくれたり、安心して治療を受けることができました。何より、最初は激痛で本当に辛かったのですが、1回治療を受けただけでかなりマシになり、本当に助かりました。今(術後半年)は全くなんともなく、快適に過ごせています。
Drからのコメント
歯の根の問題で急性炎症を起こしている場合、根管治療を行う場合、より基本的な原則を遵守する必要があります。具体的には、感染源(虫歯)を取り切る、ラバーダムを使う、しっかり根の中を洗浄する、外から細菌が入らないよう封鎖する、といったことです。これらは根管治療を成功させるための必要条件ではありますが、痛みが強い時ほど強い薬を使ってしまったり、封鎖せずに根の中を開放してしまったり、誤った手法が取られてしまう傾向にあります。生体に行う治療であるため100%治るわけではありませんが、適切な対応を行うことで、多くの痛みは軽減することができます。
治療詳細
| 主訴 | 根管治療中だが激痛が続いていてなんとかしたい |
|---|---|
| 治療内容 | 下顎大臼歯の精密根管治療 |
| 治療期間 | 2回 |
| 費用 | 根管治療165,000円(税込) |
| リスク・副作用 | 根管治療を行った歯は、不快症状が数ヶ月継続する可能性があります。また、術直後は痛みが出る可能性があります。症状の軽減には、およそ半年から1年程度の期間が必要です。臼歯の根管治療歯は歯の破折リスクが上がるため、クラウンによる補綴治療が推奨されます。 |
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監修者情報

院長 髙井 駿佑
経歴
- 2007年 県立宝塚北高等学校 卒業
- 2013年 国立鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 大阪大学歯学部附属病院 総合診療部 研修修了
- 2016年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 勤務
- 2019年 医療法人晴和会うしくぼ歯科 副院長 就任
- 2023年 髙井歯科クリニック 開院
資格
- 日本歯内療法学会 専門医
- 米国歯内療法学会 会員
- 日本外傷歯学会 認定医





